社会そのほか速
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「いや、そんなことは起きないと思います。私は『教育方程式』と名付けているのですが、世の中で教員を志望する方の多くは、『教育はかくあるべき』という、今の教育学者が唱える理論に沿った、教育に対する理想と夢を持っているのです。それは大切なことです。
おそらく私の主張は、実際に教師になってみるまで理解できませんし、なったとしても理解できる人はそう多くないかもしれませんね。私自身は、教師になってすぐわかりました。教育には強制が入っていることや、生徒は勉強することを忌避していることに。ですから、教育は必要なことだが、必ずしも生徒には望まれていないと思いました。ところが、他の多くの教員を志望する方の中では、『金八先生』的なイメージが圧倒的に強いのです」
――その点を踏まえて、著書では「わかっている教師」と「わかっていない教師」という括(くく)りで、教師のありようは論じていらっしゃいます。そのあたりに解決のヒントがあるように感じます。
「教育の現場の問題の本質がわかっていないということは、ある意味、幸せなわけですよ。わかっていると、しんどいです。極めて逆説的ではありますが、現場の上司の立場からだと、わかっている教師の方が問題かもしれません。わかっていない教師なら、ちゃんとやってくれますから。
私がこの本で訴えたかったことの一つは、『教育は強制的ではあるが、必要である』ということです。強制だからいけないとは考えません。あるカリスマ教師がいて、その方の実践家としての活動を私はとても高く評価していたのです。その方がこういうことを、おっしゃったのです。『教師が、素の自分をさらけだすことはよいことだ』と。私はびっくりしました。たとえ教師でなくとも、社会的な役割を持った人間が、1~2割はどうしても裏の顔が出てしまいますが、基本としては素の自分をさらけ出すのはおかしいと思うからです。ましてや教師が、そのようなことをしたら、生徒や親には受け入れられませんし、へたするとクビになってしまいます。私自身、教師として自分の本心を話したことはまずありません。近代的な建前しか話しませんでした。それが教師の基本だからです。
生徒の方は、教師のことを8~9割がた、ただの教師として見ていて、個性を持った人間としては見ていません。それなのに、『人として互いに向き合えば、教師と生徒は理解し合える』という、事実ではない教育方程式がいまだに根強く教育学界に残っているのです。そうした教育方程式を疑うようにならないと、学校の現場はよくならないと思うのです。私は、金八先生は嫌いではありません。自分を金八先生だと思っている教師や世の中の金八ブームが嫌いなだけです」
(終わり、聞き手・構成 メディア局編集部 二居隆司)
外国の教育事情を描いた映画が、注目を集めている。
日本の学校現場と重ね合わせて見る教育関係者らにも好評で、異例のロングランを続ける作品も。教師限定のオンライン試写会や、学校での自主上映なども行われ、教育の意味を問い直すきっかけにもなっている。
イタリアの公立高校が舞台の映画「ローマの教室で」(ジュゼッペ・ピッチョーニ監督)は、2012年の製作。日本では8月から公開され、東京・岩波ホールで10月10日まで上映中。今後、各地で順次上映される。冷静な女性校長、熱血漢の新米教師、教育への情熱を失った老教師らをめぐる群像劇で、様々な問題を抱える生徒たちとの交流を通じ、教師自身も変わっていく姿を描いている。
この作品に注目したのが、今年発足し、教師約7000人が登録するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「SENSEI NOTE」。普段は授業や生徒指導に関する相談や情報交換などを行い、教師を支援する場として活用されている。先月の公開に先立ち、会員限定のオンライン試写を行ったところ、約150人が鑑賞。教師たちから様々な意見が寄せられ、SNS運営会社が呼びかけた上映後の会合でも参加者が感想を語り合った。
「説教めいていない内容がいい。教師が先生らしく接しようとしても、生徒側は、教師を人間として見ていることがよくわかる」と実感したのは、埼玉県の高校の女性教師(30)。「貧困や家庭の問題などは日本でも外国でもある。教師は命を削るような面があるのだと思った」と語る男性教師(33)もいた。「登場する若手男性教師は、自分の思いばかりが先走っていた。もし後輩だったら注意したい」との冷静な意見もあった。
原作は、高校教師として長年勤めた経験を持つイタリア人作家のエッセー。SNS運営会社社長で、試写への参加などを呼びかけた浅谷治希さん(29)は「夢のような物語ではなく、リアルな学校現場の葛藤を描いた作品だからこそ、教師ならではの見方ができる。教育のあり方を考え直すきっかけにしてほしい」と話す。
フランスのドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」(パスカル・プリッソン監督)も、東京都内の映画館などで今年4月に公開され、各地で評判を呼んでいる。
ゾウやキリンが行き交うサバンナを日々15キロも駆け抜けて通学するケニアの兄妹や、3000メートル級の山々が連なるアトラス山脈で22キロを毎週往復するモロッコの少女らの姿を、壮大な自然と共に映し出した。フランスで権威あるセザール賞(ドキュメンタリー部門)を受賞した。
教育が将来を切り開くと信じ、家族にも支援されて学校に通う様子が、感動を呼ぶ。配給会社には、「子どもたちに見せたい」と、現場の教師たちから、学校での自主上映の申し込みが相次いでいるという。
海外の教育事情に詳しい榊原洋一・お茶の水女子大教授は「学校に通うという日本では当たり前のことが困難な国があると知り、教育の意味を改めて問い直す人も多いのでは」と話す。(泉田友紀)
存続が危ぶまれる方言が増えるなか、学校現場などでお国言葉を伝える活動が広がっている。
各地で継承に取り組む人たちが意見交換する「日本の危機言語・方言サミット」も昨年12月中旬、東京・八丈島で初めて開かれた。
「イランカラプテ(アイヌ語でこんにちは)」「にーふぁーゆー(沖縄・八重山の方言でありがとう)」――。サミットは、東京都八丈町と文化庁、国立国語研究所が共催。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が指定した消滅危機言語・方言を持つ地域などから、“語り部”や研究者らが参集した。
まず、青森県の津軽弁を広めているタレント、伊奈かっぺいさんが講演し、「方言は楽しくなくては残らない。伝え方を考えよう」と訴えた。続いてパネル討論では、消滅危機言語・方言の継承に取り組む教師ら4人が登壇した。
八丈町では、全小中学校で年3時間、方言の授業を行っている。討論には、町立三原小学校の保護者で、語り部の授業をサポートしている渡辺志保さん(42)が参加。「家でニット帽をかぶった私に、小学3年の息子が『かやしきゃ(かわいい)』と言ってくれた。授業で習ったからこそ、家庭でも使える」と、学習の成果を報告した。
鹿児島県与論町立与論小の岩下朝恵教諭(49)は、「楽しく学ぶことに加え、基本を押さえるのも大切。地元でつくられた方言辞典に助けられた」と発言。同小では、高齢者の生き方などを通じて方言を学ぶ授業を年10時間行っており、与論中学校では、方言や地域の文化を調べる学習「ゆんぬ(与論)学」に取り組んでいるという。
北海道平取町で週1回開かれている子ども向けアイヌ語教室の講師、関根健司さん(43)は「ギターを弾きながら授業をするなど工夫している」と話した。
多様な「しまくとぅば(島言葉)」を持つ沖縄県が昨年行った意識調査では、方言普及に必要な施策として「学校の総合学習などでの実施」を挙げた人が7割を超え、教育への期待がうかがえた。同県文化振興課の平良(たいら)真主査(43)は「若年層への普及が大切」と話した。
各地の参加者からは、方言になじみがない若手教員が多いことや、文法などの教材や辞書の不足といった課題も指摘された。
サミットに参加した木部暢子・国立国語研究所副所長は「程度の差はあっても、方言を話す人が減っている地域は多い。身近な問題として考えてほしい」と訴えた。(泉田友紀)
最近、友人がジャズの同好会で知り合った男性と結婚しました。「興味・関心を共有する男女がひかれ合うのは自然の成り行き」ですね。
「成り行き」とは、状況や物事が変化していく様や、その結果のことです。「成り行き」の一般的な英訳は、the course(of events); the development(of affairs); the turn of events; consequenceなどがあります。
冒頭の括弧内を英訳すると、Mutual attraction between a man and woman who share concerns and interests is a natural course of events.です。
「その件は成り行きを見てから決めよう」は、Let's see how things go before we decide on the issue.と英訳できます。thingsは「物事、事柄」の意味です。
「彼はこの問題については、ただ、成り行きを見守っている」は、He is just sitting on the fence on this problem.です。sit on the fence on...は「~に関して、どっちつかずの態度を取る」という意味のイディオムです。
「成り行きに任せる」は、let things ride; leave a matter to take its natural courseなどです。
太平洋を囲む国同士で、輸入品の関税を減らしたりなくしたり、人やお金の往来を容易にするための環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Partnership free trade pact)交渉が大詰めを迎えています。「特に農業団体がTPP交渉の成り行きを注視している」は、In particular, agricultural groups are closely watching the progress in TPP negotiations.と訳せます。progressは「進展」の意味です。(菅彩織理記者)
100人以上の生徒が科学オリンピックに挑む高校がある。
文部科学省から先進的な理数教育に取り組む「スーパーサイエンスハイスクール」に指定されている愛知県立岡崎高(岡崎市)だ。
特に、放課後、自由研究を続けるスーパーサイエンス部は今年夏、部員55人の大半が物理、化学、生物学のうちいずれかの国内大会に挑み、生物学で金賞(上位10位まで)、銀賞(11~20位)、銅賞(21~40位)に1人ずつ入った。
国内大会は翌年の国際大会の予選を兼ねており、銀賞だった1年の宮田一輝君(16)は、高校2年生以下から選ばれる日本代表候補(15人)に。選抜試験で上位4人に残れば、岡崎高からは2年ぶり5人目の代表となる。
研究者を志望し、中学生の時から岡崎高のスーパーサイエンス部に入りたかったという宮田君は9月の放課後、「リーゼガング現象」の実験をしていた。
これは、特定の2種類の薬品を用意し、ゼラチンで固めた片方の薬品にもう片方の薬品をしみ込ませると、しま模様の沈殿物ができる現象だ。宮田君は「鉱物のメノウにしま模様ができる仕組みを解明できるかもしれない。成果はコンクールで発表したい」と笑顔で話した。
科学五輪と自由研究は「車の両輪」という。同部顧問の稲垣貴也教諭(35)は「五輪を目標に勉強すれば知識がつき、研究の質が上がる。研究成果が出れば五輪で力を試したくなる。自ら学ぶ姿勢も身につく」と語る。
今年の国際科学五輪に出場した日本代表(31人)は、筑波大付属駒場高、開成中・高、灘高で約半数を占めたが、各地の公立高の健闘も目立った。
科学技術振興機構によると、昨年度、科学五輪の国内大会には1056校が参加し、前年度比で80校増えた。
科学五輪の挑戦者を増やそうと、様々な試みも行われている。
静岡県教委は8月から、高校生講座「オリンピックチャレンジ」を始め、約80人が大学教員から人工衛星の観測データをもとに気候変動に関する講義を受けたり、有機化合物の構造を推理する問題に挑戦したりした。
コンピューターのプログラム作成を競う情報五輪の入門講座もある。
9月には、東洋大川越キャンパス(埼玉県)に埼玉県立高の生徒22人が集まり、基礎的な作成法を学んだ。県立大宮高の生徒15人を引率した斎藤実教諭(58)は「五輪への参加を通じて、自分の適性や関心がわかり、進路選択の参考にもなる。情報処理の考え方やコンピューターの理解は、社会に出た時に素養として役立つ」と指摘する。
2014年の国際科学五輪の学校別出場者数
▽8人 筑波大付属駒場高
▽4人 開成中・高、灘高
▽2人 白陵高
▽1人 茨城県立水戸第一高、大阪府立茨木高、岐阜県立岐阜北高、静岡県立浜松北高、東京都立武蔵高、宮崎県立宮崎西高、大阪星光学院高、巣鴨高、東海高、豊島岡女子学園高、広島学院高、洛星高、早稲田高