社会そのほか速
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存続が危ぶまれる方言が増えるなか、学校現場などでお国言葉を伝える活動が広がっている。
各地で継承に取り組む人たちが意見交換する「日本の危機言語・方言サミット」も昨年12月中旬、東京・八丈島で初めて開かれた。
「イランカラプテ(アイヌ語でこんにちは)」「にーふぁーゆー(沖縄・八重山の方言でありがとう)」――。サミットは、東京都八丈町と文化庁、国立国語研究所が共催。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が指定した消滅危機言語・方言を持つ地域などから、“語り部”や研究者らが参集した。
まず、青森県の津軽弁を広めているタレント、伊奈かっぺいさんが講演し、「方言は楽しくなくては残らない。伝え方を考えよう」と訴えた。続いてパネル討論では、消滅危機言語・方言の継承に取り組む教師ら4人が登壇した。
八丈町では、全小中学校で年3時間、方言の授業を行っている。討論には、町立三原小学校の保護者で、語り部の授業をサポートしている渡辺志保さん(42)が参加。「家でニット帽をかぶった私に、小学3年の息子が『かやしきゃ(かわいい)』と言ってくれた。授業で習ったからこそ、家庭でも使える」と、学習の成果を報告した。
鹿児島県与論町立与論小の岩下朝恵教諭(49)は、「楽しく学ぶことに加え、基本を押さえるのも大切。地元でつくられた方言辞典に助けられた」と発言。同小では、高齢者の生き方などを通じて方言を学ぶ授業を年10時間行っており、与論中学校では、方言や地域の文化を調べる学習「ゆんぬ(与論)学」に取り組んでいるという。
北海道平取町で週1回開かれている子ども向けアイヌ語教室の講師、関根健司さん(43)は「ギターを弾きながら授業をするなど工夫している」と話した。
多様な「しまくとぅば(島言葉)」を持つ沖縄県が昨年行った意識調査では、方言普及に必要な施策として「学校の総合学習などでの実施」を挙げた人が7割を超え、教育への期待がうかがえた。同県文化振興課の平良(たいら)真主査(43)は「若年層への普及が大切」と話した。
各地の参加者からは、方言になじみがない若手教員が多いことや、文法などの教材や辞書の不足といった課題も指摘された。
サミットに参加した木部暢子・国立国語研究所副所長は「程度の差はあっても、方言を話す人が減っている地域は多い。身近な問題として考えてほしい」と訴えた。(泉田友紀)