社会そのほか速
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2013年に入社。太陽電池の背面に貼るシートを販売する営業の部署に配属された。
シートの製造・販売は、会社が参入したばかりの新規事業だ。写真フィルムの技術を応用し、湿気などから電池を守って耐久性を高めるという。
主な取引先は中国の太陽電池メーカー。最初は辞書を片手に中国語の契約書を日本語や英語に訳したり、商談時の提案資料を作ったりするなど、中国人の先輩社員のサポート業務が中心だった。
配属から2か月後の8月、先輩社員に同行し、初めて中国に出張した。中国語は大学時代に第2外国語で学んでいたが、「商談では会話がほとんど理解できず、悔しい思いをした」と振り返る。
その後、語学学校に通うなど努力を重ね、今年に入ってからは、中国語でコミュニケーションが取れるようになってきた。
日本の太陽電池市場など取引先が関心を持ちそうな話題は、つたない中国語でも聞こうとしてくれることがあり、「自分のできる範囲が広がってきた」と実感する。
性能チェックなどを受け、シートの供給が決まっていた中国メーカーから、具体的な発注がなかなか来ないケースがあった。メーカーの日本支社に事情を説明し、中国の本社に発注を促してもらい、販売にこぎつけることができた。「自分の働きかけが実績につながり、やりがいを感じた」
上司の牧野純一さん(47)は「日々成長しようと努力している。中国以外にも様々な商品の営業活動の場を広げ、グローバル人材として活躍してほしい」と期待する。
大学ではメーカーの経営戦略を学ぶゼミに所属した。また、留学生のクラスメートと仲が良かったことなどから、海外で事業展開する会社に興味を持った。就職活動では、3社から内定を得たが、最も早く海外勤務できそうな富士フイルムに決めた。「会社の技術を生かして新興国の課題を解決する新製品を企画し、広めていくのが夢。海外に駐在できたら、現地のニーズを肌で感じ取りたい」と望んでいる。(山田睦子)
(2014年9月30日の読売新聞朝刊に掲載)
今の大学3年生の就職活動が本格化するのは、来年3月からですが、そろそろリクルートスーツの購入を検討する人もいるでしょう。
すでに購入しインターンシップ(就業体験)や業界研究会などにリクルートスーツを着て参加する学生もいます。
ただ、インターンシップなど本来は採用と直結しないイベントに、スーツを着て参加する必要はありません。合同説明会など就活の初期の段階でも、入学式のときに着たスーツや親族のお下がりを活用すれば、間に合うことが実は多いはずです。
スーツを着る意味が本当にあるのは、面接などで自分をアピールするチャンスがあるときです。「リクルートスーツの色は、黒が無難」などとよく言われますが、同じ色でも、スーツの型、シャツとの組み合わせなど「着こなし」によって相手にどう見られるかは変わってきます。
このため、リクルートスーツを購入するときは、店員さんに、着こなしも含めたアドバイスを受けるといいでしょう。スーツの色やタイプは、志望する業界によって、どこまで許容されるかが、大体決まっています。そうした情報を把握している大手紳士服チェーンもあります。「自分はこういう人に見られたい」といった点や予算なども店員さんに説明して、最適なスーツを選んでください。
リクルートスーツの購入は、業界研究や自己分析の延長線上にあるともいえます。自分をアピールするツールとしてもっと活用すべきです。(人材コンサルタント)
(2014年12月16日の読売新聞朝刊に掲載)
企業の採用意欲の高まりもあり、今年は、複数の企業から内定を得る学生が増えています。
どこも、自分を認めてくれた会社ですから、入社の意思があるかないかは、不義理のないよう、早めに伝えるべきです。
ただ、一生を左右する決断でもあり、迷う人は多いでしょう。私は、最後は自分で決断してほしいと思います。
周囲のアドバイスに頼る人もいますが、働き始めて、理想と現実のギャップに出くわしたとき、「あの人のせいで」と被害者意識を抱きがちです。
一方、アドバイスは参考にしても、自分で決断したならば、覚悟しやすくなるものです。
これは、社会人に求められる、責任感を持った思考の第一歩です。仕事が思い通りにならなくても、自分で考え工夫を続けることが成長につながります。原因を自分以外に求める思考が強くなると、批判ばかりで自分の工夫がおろそかになります。
自分で決断するには、コツがあります。最適な1社を見つけなければと、自分を追い詰めないこと。失敗したくない意識が強すぎると思考が止まってしまいます。社員と働くイメージが抱けるかどうかも重要です。できるだけ現場の社員に会って、雰囲気を知ることも大切です。
入社した後は、自分の決断を正解にしてしまう「したたかさ」を持つことも大切です。尊敬できない上司らを反面教師にするなど、入社前とのギャップを成長の肥やしにする貪欲さを持つのです。(フィールワークス代表)
(2014年8月19日の読売新聞朝刊に掲載)
昨年の今ごろ、私が勤める山口大就職支援室は、エントリーシートの書き方や自己分析の方法を質問、相談する大学3年生たちでごった返していました。
でも、今年は静かな師走を迎えています。3年生の12月だった就職活動の開始時期が、3か月、繰り下げられたからです。
ただし、それまで何もしないでよいというわけではありません。学業と並行しながら、社会に出るための準備が必要なのですが、学生たちの多くは「まだ早い」と思っているようです。
今、取り組むべきことの一つに業界研究があります。社会にどんな仕事があるのか知らないと、職業を選ぶことはできません。山口大では11月から2月にかけて、計500ほどの企業や官公庁で働く人たちを招き、自分の業界や仕事について語ってもらう研究会を開催します。特に地方の学生にとっては、ふだん出会うことのないビジネスパーソンらと接し、学ぶ、貴重な機会ですが、今のところ参加者が少ないのが悩みの種です。
そこで、研究会の日程などを知らせる「就職ニュース」を学生にメールしたり、昼休みに30分限定の就職ガイダンスを開いたりと、あの手この手の大作戦で参加を呼びかけています。
静かなキャリアセンターの中で、私たち教職員は、研究会などの用意に追われています。他の大学のキャリアセンターも同じような状況にあるのではないでしょうか。学生の皆さんには「働く」ことを学べる機会を有効に活用してほしいと願っています。(山口大教授)
(2014年12月2日の読売新聞朝刊に掲載)
私は、共働きの「イクメン(子育てに熱心な男性)」経営者です。
社内には育児や親の介護を抱える部下もいます。時間的な制約もあり、残業はほとんどしません。学校行事など家庭の用事がある日は休めます。
その代わり、仕事が生み出す価値には徹底的にこだわるよう話しています。うまくいく秘訣(ひけつ)は、常に仕事の目的を踏まえ工夫を凝らしたり、前倒しで納期に余裕をもたせたりすること。
子どもの熱など、不測の事態で休まざるを得ない時も、それぞれの仕事の進捗(しんちょく)状況、働ける時間などをふだんから情報共有しておき、互いに助け合えるようにしています。
就職活動で、志望する企業について、仕事と家庭を両立できるか、気になる学生も多いと思います。しかし、先々の人生ばかり気にする学生を企業はあまり快く受け止めていません。肝心の仕事をなおざりにするのではないかと危惧するからです。
女性が長く働ける環境や男性の子育て参加を推奨する企業は確かに増えています。育児に前向きな男性や、部下たちの多様な働き方を支援する手法を学ぶ上司も多くなってきました。
だからこそ、就活では、どんな会社でどんな仕事をしたいかを第一に考えるべきです。任された仕事を自己裁量でこなせるようにならないと、人生のメリハリをサポートする制度があっても、それを本当に生かすことはできません。将来に悩むより、今と向き合うこと。その積み重ねが将来の満足につながります。(フィールワークス代表)
(2014年6月24日の読売新聞朝刊に掲載)