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◇森トラスト・森章社長に聞く
奈良の観光を従来の「日帰り型」から、「宿泊滞在型」へ変えようという動きが出てきた。3選を決めた荒井知事は、奈良市役所南側の県営プール跡地に外資系の四つ星クラスのホテルを誘致。周辺には国際会議場や劇場などを整備して、外国人を中心に宿泊客数のアップを目指す。県と協定を結んでホテル誘致の実務を担う不動産開発大手・森トラスト(東京)の森章社長(78)に奈良観光の将来像などを聞いた。(聞き手・坂木二郎)
――奈良市へのホテル誘致を進める理由は
「昨年はシルクロードが世界遺産登録された。これから中国は、中央アジアのインフラ整備や海のシルクロードなどのPRにかなり力を入れるだろう。日本以外では、王朝が代わるたびに文化財が壊されてしまった。それがシルクロードの終着点の奈良には残っている。盛り上がると思う」
「ただ、奈良は京都と違って外国人からは分かりにくい。仏像は(仏師の)運慶や快慶が分かっていないと同じに見えてしまう。そこが京都の庭とは違う。だから奈良を訪れるのは、外国人でも、ある程度の知識を持つ人。知識人に奈良に滞在してじっくり見てもらうためには、外資系のホテルが必要だ」
――外国人観光客は県内でも増加している
「外資系ホテルの需要は、今後さらに増える。なぜなら、ネットワークが違うからだ。ホテルのブランド自体が外国人客に対する吸引力を持っている。国内でいくら宣伝しても外国人客は来ない。ブランド力が必要だ。だから外国人を誘致できる組織力のあるホテル会社に任せたい。国内でいくら中身が四つ星だ、五つ星だと言っても駄目。奈良に造るホテルでは、宿泊客の7割は外国人になると思う」
――大阪や京都のホテルと競合する心配はないか
「昨年のインバウンド(来日外国人観光客)の1340万人は、まだ数の内に入っていない。何千万人にもなる可能性を秘めている。今のゴールデンコースは東京―京都―大阪。それをどんどん、中国人は富士山と温泉が好き、東南アジアの人は雪が好きだから北海道とか、相手が何を望むかに合わせていけば、地方にも拡大する。地方創生には観光が一番いい。つまりは自分たちの地域に魅力があるかどうかであって、競合などは問題にならない」
――「奈良にうまいものなし」というイメージが定着している
「奈良は寺が多い。京都の南禅寺のように、精進料理などの日本の伝統をPRできないだろうか。チーズもミルクも、そうめんも奈良が最初。様々な和食が元をたどれば奈良に行き着く。それを物語風にして、歴史を感じさせる食事として提供すれば評判になるのではないか」
――奈良に誘致するホテルの構想は
「今は数社で調整している。後から『こういうホテルを作ってくれ』と要望しても、外資は自分たちのブランドを変えようとしない。あらかじめ、こちらの希望に合う、奈良にふさわしい集客力あるブランドを選択する必要がある。契約は発掘調査が終わる1年後ぐらいをめどに考えている」
――奈良市は地下に遺構が多い
「だから奈良は空白地帯になってしまった。荒井知事まで大きな構造物を建てさせなかったから。今回のホテルは地下に大きな駐車場やバスターミナルを造る計画がある。仮に遺構が見つかってホテルを誘致できなければ仕方がない。従来路線か、街おこしか。どちらを選ぶのかは、県民が決めることだと思う」
<森トラスト> 1970年設立で、資本金100億円。グループ全体でリゾート開発、ホテルの誘致、運営などを行う。東京マリオットホテル(東京)やコンラッド東京(同)、翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都(京都)などのほか、オフィスや商業施設も手がける。森社長は大神(おおみわ)神社(桜井市)とゆかりがあり、崇敬者総代を務める。