社会そのほか速
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ブラジル・サンパウロ中心街の南約25キロにあるファベーラ(貧困地区)のジャルジン・イレーニ。カフーさんは、ここで生まれ育った。かつては国内で最も治安の悪かった地域だ。2002年の日韓ワールドカップ(W杯)で優勝したとき、カフーさんは「100%ジャルジン・イレーニ」と手書きしたユニホーム姿でトロフィーを掲げた。自らの出自を隠すことなく堂々と振る舞う姿に、国民は感動し、希望を見いだした。
ファベーラでは、子供たちが犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たない。ほとんどの学校が半日制のため、子供たちは時間を持て余しており、地元の犯罪組織に勧誘されるのだ。中には親に働くことを強要され、麻薬の密売に手を染めた子供たちもいる。このような状況を改善するため、カフーさんは04年に財団を設立。放課後、子供たちにスポーツや芸術を教えることで犯罪から遠ざける民間施設を造った。指導員のカルロス・マリアノさん(31)は「ここで学んだことが、子供たちの夢をかなえるきっかけになれば」と話す。
リオデジャネイロでも、同様の施設の数は20を超え、更に増える予定だ。徐々に効果は上がっているが、まだまだ十分とは言えない。夜のファベーラで、麻薬で歯がぼろぼろになった13歳の少年に会った。現実は痛ましいが、いつか、ここから「次のカフー」が現れる。そう信じて活動は続く。
写真と文 里見研
(5月15日から6月10日に撮影)