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農家手伝い、食材仕入れ

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農家手伝い、食材仕入れ

農家手伝い、食材仕入れ 

高島宏平 40 オイシックス社長

 

 <学生で起業>

  •   インターネットを知ったのは大学3年生の時で、すっかり夢中になりました。

      大学院に進学しましたが、友人とネット企業を設立しました。手がけたのは航空券の販売など。利益はわずかでしたが、仕事は順調でした。

      ネットを使って社会に貢献できないか。面白ければいい、との気持ちが変わっていきました。1998年にマッキンゼーの日本支社に就職したのは、ビジネスの世界を知ってからもう一度起業したい、との思いからでした。「3年後に再会しよう」。仲間に約束しました。

      職場ではネット関連の仕事を一手に引き受けました。「明日までにやります」と宣言して、徹夜で必死に仕上げた仕事もあります。経験を積もうとの一心でした。

     

     <起業に再挑戦>

      土日に起業の準備を続けました。仲間と議論を重ねて出した結論は「食」を仕事にすること。ネットを活用して生産者と消費者の距離を縮めることができないか。安心・安全な食材を便利に手ごろな値段で提供できないか。企業の理念を固め、予定を前倒しして、2年間勤めたマッキンゼーを退職して、「オイシックス」を創業しました。

     

     <苦難続く>

      当時はネットビジネスの草創期。起業はしたけれど、注文は来ない。新規顧客は社員の親戚か友人ばかり。1日2件の注文を3人の受け付け担当者が処理するペースです。お金はなく、広告も出せない。女性向け雑誌などに頼み、レシピ情報を提供する代わりにオイシックスのサイトにリンクできるようにしてもらいました。

      仕入れも難題でした。食材に詳しいわけでも、グルメでもない。農家に知り合いもいません。東京・大田市場を仲間と手分けして回り、農家の電話番号を片っ端からメモして連絡をとりました。教えてもらった住所に出向いて、「ネットで売るので売ってください」とお願いしました。

      ネット販売が普及していない時代です。門前払いは当たり前でした。それでも農家を回り続け、畑で雑草をむしったり、収穫を手伝ったり。顔を知ってもらいながら、仕入れ先を開拓しました。

     

     <逆境と飛躍>

      モノは売れず、お金もない。危機は続きました。創業2年目には、商品の仕分けや配送を委託していた栃木県の物流センターから「明日で廃業する」と電話が来ました。赤字が続いていたころです。1日でも売り上げが出なければ大変です。配送を止めるわけにはいかない、と社員全員が徹夜で野菜を袋詰めしたこともあります。黒字になったのは創業4年目でした。

      大切なのは、消費者の声を聞くこと。2001年に発売した「ふぞろい野菜」は、見栄えは悪いけどおいしい、との評価を得ました。農家で廃棄されたナスを見たのがきっかけです。形より安全。何を大事にしているか、顧客に聞いた答えがヒットにつながりました。

      東日本大震災の直後、宮城県に支援物資を持って向かいました。被災地支援に取り組む団体を設立したのは、東北の食材に支えてもらってきた思いからです。復興のためにも、やれることはすべてやるつもりです。(聞き手 伊藤剛)

     

      《メモ》 2000年6月設立で、「安心・安全」にこだわった肉や魚、有機野菜など生鮮食料品をインターネット経由で販売。14年3月期の売上高は前年同期比9.1%増の159億円で、創業以来13年連続で増収を続ける。従業員数は179人。定期会員数は8万3500人(5月10日現在)。香港でも事業を展開する。本社・東京都。

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