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東京都武蔵村山市の福祉バス運転手塚田三与志さん(65)が、東日本大震災で被災するなどした船舶の模型を作り、被災地に届ける活動を続けている。
岩手県大槌町の民宿に乗り上げ、解体された観光船「はまゆり」を始め、港町のシンボルを模型にして贈ることで、被災地を応援する気持ちを伝えたいと考えている。
子どもの頃から船とバスの模型作りが趣味だった塚田さんが、被災船などの模型を作り始めたのは、震災から半年後の2011年秋。08年に路線バスの運転手を退職してから、愛好家で作る「商船模型同好会」に入っており、「はまゆり」の模型を作って船長らに寄贈しようという宮城県内のメンバーの呼びかけに応じた。計7個が被災地に贈られ、塚田さんが制作したものは、「鉄の歴史館」(岩手県釜石市)に展示されている。
それまでも被災地のために何かしたいと思っていた塚田さんは、その後も個人的に贈り続けることにした。「船にはロマンと希望がある」と感じてきただけに、模型で被災者を応援したいと考えたからだ。
12年には、「みやこ浄土ヶ浜遊覧船」(同県宮古市)の観光船「第16陸中丸」が、津波の難を逃れたことを知り、幸運の象徴として寄贈したいと模型を制作した。同社に申し出たところ喜ばれ、現在は乗り場窓口に展示されている。事務員の高屋敏(さとし)さん(42)は「精巧な作りに目を見張る。乗船するお客さん、特に子どもたちが喜んでいる」と感謝する。
模型は、同好会や船主を通じて得た船の写真や構造図を約50分の1のサイズまで拡大コピーして参考にし、木や紙を材料に組み立てる。船体のカーブや甲板の道具、船内の座席なども細かな作りで表現するため、完成までに3~6か月かかるが、塚田さんにとっては楽しみのうち。震災後に新たに進水した船舶の模型など制作中のものも含め、計6個を手がけてきた。
塚田さんが今夏完成させた2個目の「はまゆり」も、その一つ。震災遺構として復元しようと、大槌町が寄付金を募っているのを知り、PRに役立ててほしいと考えた。10月下旬以降、自ら同町に届ける予定だ。塚田さんは「震災や被災地のことを忘れていないということを伝え続けていきたい」と話している。