社会そのほか速
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全日空の元客室乗務員で、同社初の女性支店長も務めた山脇彰子さん(62)が、6月に鳥取銀行(本店・鳥取市)の取締役に就任し、奮闘している。
創立65年の歴史を誇る同行でも女性の起用は初。活躍の場を切り開いてきた原動力、今後の目標などを聞いた。
――航空会社からの転身。何を心がけていますか。
「お客様に愛され、信頼される銀行づくりを、おもてなしの観点から進めることです。客室乗務員の経験を生かせると思います。銀行の利用者としての率直な思い、外からの視点も大切にしています。私が初の女性取締役というのは、遅れています。女性が活躍し続けられる環境作りにも努めたいと思っています」
――どんな取り組みをしていますか。
「取締役に就く1年ほど前に鳥取銀行と嘱託契約を結び、接客の研修を行ったり、県内の支店を視察したりしてきました。日経新聞などの調査で2012年の銀行サービスランキングが全国117行中115位だったことを知り、衝撃を受けました。サービスは企業の規模に関係なく高められます。あいさつや電話応対など接客の常識を『とりぎんスタンダード』としてまとめて徹底し、今年は34位に上昇しました」
――全日空時代の経験で印象に残っていることは。
「VIP接遇担当マネジャーとして元首相や企業の社長に対応しました。トップに立つ人は謙虚で感謝を忘れない方ばかり。どんなに地位や名誉のある人が相手でも、人と人が向き合うことに変わりはありません。『山脇がいるから空港に行こう』と思ってもらえるよう努力してきました」
――管理職も経験されていますね。
「客室乗務員の現場から離れるのはつらかったですが、新たな活躍の道を自分が作るのだと考え、気持ちを切り替えました。女性に任せたことが失敗だったと言われるのは絶対に嫌だった。私に続く後輩のためにもやり遂げようと思いました」
――第2次安倍内閣でも女性の活躍がテーマとなっています。
「数を増やすだけでは意味がなく、実力のある女性が能力に応じたポストに就くことが大切。単に『女性だから』と起用するのではなく、性別も多様性の一つとして、いかに個性を生かすかを考えるべきです。私は仕事一筋の人生を選びましたが、出産や育児と仕事を両立させることは、人生を充実させると思います。一生自分磨きができる環境と雰囲気を作るのが企業の役割。男性の育児休暇取得者も増やしたい」
――行員に伝えたいことは。
「『この人がいるから窓口に行こう』と思ってもらえる行員を目指してほしい。そして、たくさんの『ありがとう』を聞いてほしい。相手を心から思いやることで、自ら行動できるようになると信じています」
メモ 鳥取市出身。1972年に全日空に入社し、客室乗務員として活躍。2007年に横浜支店で同社初の女性支店長となる。11年11月に定年退職。現在は、鳥取短期大学の非常勤講師も務め、コミュニケーション論やビジネス実務演習を担当。身ぶりや表情も交えて意思疎通を円滑に行う方法や、電話応対、資料整理など仕事上の基本技術を指導している。(古賀愛子)