社会そのほか速
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月間約550万に達する閲覧数に一役買っているのが、商品を愛用するスタッフらのコラムだ。
あるコラムではフィンランドの食器を特集し、お薦めの組み合わせなどを紹介した。「掲載した写真の通りに売れ、感想のメールもたくさんいただいた」と運営会社「クラシコム」(東京都国立市)社長の青木耕平さん(41)。コラムは広告の役割も担っているが、根底には「まずは自分たちが心地よい暮らしを実践しよう」という考えがある。
約200平方メートルのオフィスの床板はスギ材で、爽やかな香りが漂う。キッチンもあり、週2回、料理研究家を招いて作った昼食を社員がそろって食べる。このレシピを紹介する「クラシコムの社員食堂」も人気コラムの一つだ。
起業は8年前。不動産関連事業だったが、1年で経営が苦しくなった。会社を手伝っていた妹の佐藤友子さん(38)と、「最初で最後の社員旅行」とスウェーデンを訪れた。
そこで目にした、実用的でおしゃれな雑貨類が今の事業に転換するきっかけに。就業時間を午前9時から午後6時とし、残業をしないようにしたのは、調和のとれた働き方をする現地の人々に接したからだ。
現在、社員は13人。自分の妻や佐藤さんの夫も働いており、ほかにも夫婦が一組いる。家族が一緒に働くことで、「仕事とは、暮らしの中にある」という思いを強くしている。
「僕はプロデューサーで妹は現場監督。仕入れ品を選ぶセンスはかなわない」と信頼を寄せる。佐藤さんは「仕事の割り振りや進行をさりげなくアドバイスしてくれる」と兄を評する。
この春、社員の自宅を舞台に、家事や収納のアイデアを紹介する本が出版された。今後は、こうした本の出版のほか、衣類や食品分野の商品拡充に意欲をみせる。「暮らしを豊かにするきっかけやヒントを提供する。そんな会社であり続けたい」(野倉早奈恵)
【空き時間】PCから活字の世界へ
愛用のトートバッグの中には、常に本が2、3冊入っている。「本が手元にないと落ち着かない。活字中毒と言われています」
読み方は独特だ。空き時間があれば会社でも、自宅でも、本を積み上げて、何冊か同時に読み進めていく=写真=。ビジネス書や紀行、時代小説などジャンルにこだわらない。「小学生の頃は1日5、6冊を読むほど集中力があったけど、最近は集中力が落ちている」と苦笑いする。
本の中身を覚えようという読み方はしない。読み終えた本は、ほとんどリサイクルショップに持って行く。「大切だと感じたことは何かの形で頭のどこかに残るはずですから」。夢中になって活字の世界に入り込むことで、すべてを忘れる時間を持つことが重要なのだという。
「ネットに関わる商売なので、パソコンから離れる時間がほしい。紙の本を読むというアナログな行為が一番の息抜きです」
【道具】社員の声気にせず考え事
オフィスの一角にある社長室はガラス張りだ。「自由に出入りして意見を言ってほしい」とブラインドは閉めず、ドアも開け放している。しかし、困ったことが一つ。社員が企画の相談をしているのが耳に入ると、つい口を挟みたくなってしまう。
半年前に米国の音響機器メーカー「ボーズ」のヘッドホン=写真=を購入した。周囲の音を低減する機能が付いている。「閉ざされた空間にいたくはないけれど、社員の声も気になる。そんな自分の性分にぴったり」と話す。
ヘッドホンで聞いているのは、小川のせせらぎの音や波の音。無音のことも多い。「集中力が高まり、考え事をする時に重宝しています」
社員の議論が白熱していて、一日中ヘッドホンを付けていることも。ガラス越しにオフィスをそっと見守っている。