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新日鉄住金は水素ステーション内の配管に使うステンレス鋼を開発した。合金成分量や製造法を改良し、既存品よりも強度や耐性を高めた。実は水素は鉄の強度を低下させる「厄介者」。新素材を通じて新たなインフラ整備を支援する。
■「ここまで反響が大きいとは」
新日鉄住金が開発したステンレス鋼「HRX19」(右2本)は既存の鋼管よりも厚みを減らすことができる
2月下旬、東京ビッグサイトで開かれた水素や燃料電池に関する展示会の一角に、新日鉄住金の小さな展示スペースが設けられた。外国の政府関係者や自動車メーカー担当者などが押し寄せ、会期3日間で約1000人が訪れた。「ここまで反響が大きいとは」。新日鉄住金の営業担当者は目を見張った。
鋼管は水素を高圧に高める圧縮機や、自動車に供給するディスペンサーなどの機器の内部配管に使う。既存品は管の厚みが大きいうえ、管同士をつなぐのに溶接ができず、ねじ切りした継ぎ手を使わなければならなかった。だが新製品は薄く、溶接も可能だ。
水素は原子が小さいため鉄の結晶組織の隙間に入り込む。強度を高めるために添加した炭素が多いほどもろくなりやすいとされ、力がかかると変形することなく破断してしまう。溶接も加熱した部分の金属が変性して水素への耐性が落ちる。
このため水素ステーションのメーカーは水素への耐性が比較的高いSUS316Lと呼ぶ規格のステンレス鋼を採用してきた。だが内部に高圧ガスを通過させるには管の内径を小さくして肉厚にするしかなかった。
特殊鋼管に強い住友金属工業(現新日鉄住金)にメーカーから新素材開発の相談が舞い込んだのは2010年。内径を大きくするため管の外径を大きくすると鋼材の使用量が大幅に増えてしまう。強度を高めて管の厚みを減らす開発を傘下の日鉄住金ステンレス鋼管と進めた。