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米アップルをスマートフォン(スマホ)のシェアで引き離し、大きくリードしたかに見える米グーグル・韓国サムスン電子連合。だが、その製品デザインの開発手法はいまだアップルを標的として追いかけている。デザインで勝つアップルのモデルを分析し、デザイン会社の買収やデザイナーの引き抜きなど、デザイン力を高めつつある。
■グーグルもデザイン主導経営に舵を切る
建設中のアップルの新本社(米カリフォルニア州クパチーノ市)
シリコンバレーのクパチーノ市では、2016年に完成予定のアップルの巨大なドーナツ型新本社の建設が爆音を立てながら進む。本社の端から端まで移動するのは一苦労だが、途中で嫌でも別の部門の社員とすれ違う。組織の壁を越えた会話を生み出す狙いがある。サムスンやグーグルも同じ発想で新オフィスの設計を進めた。実は両社の設計事務所は同じNBBJだ。
NBBJのマーケティングトップのティム・リブレヒト氏は「ジョブズ氏が提唱したオフィスデザインを他社も取り込んでいる」と指摘する。シリコンバレーにおけるアップルのデザインの影響力を象徴している。
グーグルは、余計な装飾を排したシンプルさを身上とするアップルの開発哲学「ミニマリズム」への対抗軸を模索している段階だ。昨年、「マテリアルデザイン」という同社流のデザインの「文法」を発表した。デザインに一定の規則を決め、ブランドの統一感を高めるためのものだ。そのほかウエアラブル端末の開発に強いデザイン会社ゲッコー・デザインも買収している。
11年のラリー・ペイジ氏の最高経営責任者(CEO)復帰以降、矢継ぎ早にGメール、検索、動画のデザインを刷新。機能偏重の開発哲学から、使いやすさといった利用者の体験を大事にするアップルのようなデザイン主導経営に舵(かじ)を切りつつある。
アップルに大きな影響を与えたフロッグデザイン出身のデザイナーを起用し、背面までデザインにこだわったテレビを発表したサムスン電子。
だが、1月には「日常生活でつけにくい」と不評を買ったメガネ型端末「グーグルグラス」の一般販売計画の中止を発表した。てこ入れに起用されたのはアップルでiPod開発を率いたトニー・ファデル氏だった。
アップルのデザイン経営の原型をつくったデザイン会社「フロッグデザイン」。1983年から、ジョブズ氏がアップルを追われた後まで専属のデザイン会社だった。
今ではグーグルも顧客だが、同社の幹部は率直にこう語る。「(グーグルは)技術者がばらばらに自己主張する組織構造で、製品コンセプトに一貫性が出にくい」。結果、工業デザイナーは技術者の意見の最大公約数をとり、機能を整然と並べる。初心者にはややハードルが高い機能偏重の製品になりがちだ。