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「4K普及はこれから」 4Kに“本気”な「ひかりTV」は販売チャネル開拓に課題

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「4K普及はこれから」 4Kに“本気”な「ひかりTV」は販売チャネル開拓に課題

「4K普及はこれから」 4Kに“本気”な「ひかりTV」は販売チャネル開拓に課題

「今後も4Kを軸に事業展開していく」――NTTぷらら代表取締役社長の板東浩二氏は、4月9日の2015年度上期事業戦略発表会で同社がこれまで行ってきた4K配信の取り組みと今後の方針を語った。

【「ひかりTV 4K」のVODに対応する国内メーカー一覧】

 同社のスマートTVサービス「ひかりTV」は2015年2月時点で300万会員を突破し、全98チャンネルのHD(ハイビジョン)化を完了。また、NTT東西の光回線とインターネット接続サービス「ぷらら」を組み合わせた光コラボモデル「ぷらら光」も提供している。

 2014年10月に開始した国内初となる4KのVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスの番組数は、当初は120本ほどだったが、276本にまで増加した。ジャンルは映画、ドラマ、音楽、バラエティーなど多岐にわたり、「ハリウッド映画の4K配信はひかりTVだけだ」と板東社長は説明する。

 現時点(2015年4月9日)で「ひかりTV 4K」のVODに対応するのは、シャープ「AQUOS」の7機種、東芝ライフスタイル「REGZA」の6機種で、2015年春にソニー「BRAVIA」の9機種、6月中旬にLGエレクトロニクス・ジャパン「LGスマートテレビ」の8機種、夏にパナソニック「VIERA」の9機種が対応予定。今夏までに計39機種が4K配信に対応することになる。

●4K IP放送は12月から 4K VODも2016年に700作品へ拡充

 すでにトライアルを開始していた4KのIP放送は12月に実用化される予定だ。すでに提供中のひかりTV対応チューナー(STB)をファームアップするか、4K映像のIP放送対応チューナーを内蔵する4Kテレビを利用して視聴できる。放送チャンネルや編成内容、価格等の詳細は未定だが、「SDからHD画質にしたときも課金はしていない。個人的には有料は難しいと考えている」と板東社長は心中を明かした。提供開始を12月にした理由は、「NTTぷらら設立からちょうど20年となる節目の月であるから」。

 現時点でシャープと東芝のテレビが「ひかりTV 4K」のIP放送に対応予定で、パナソニックも対応を検討している。そのほかの主要メーカーとも協議中だという。

 合わせて、「ひかりTV 4K」(VOD)で地上波番組の見逃し配信および先行配信も4月10日より順次行う。見逃し配信の対象となるのは、テレビ東京のドラマ「不便な便利屋」、ドキュメントバラエティー「E-girlsを真面目に考える会議」、NHKの人形劇「シャーロック ホームズ 4Kスピンオフ(仮)」の3番組で、「E-girlsを真面目に考える会議」は先行配信の対象にもなる。さらに、2016年3月末には4KのVOD作品を700本に拡充する。

●4K映像作るクリエイターを支援 オリジナルコンテンツを強みに

 NTTぷららは、4K作品のラインアップを拡充する上で、個人クリエイターや映像制作に携わる学生たちを積極的に支援していく方針だという。具体的には、映像制作関係者に必要な機材や編集機器を提供したり、優れた4K作品を表彰するコンテストを開催したり、クラウドファンディングで資金援助をしたりする。

 同社でコンテンツを自作しないのかという質問に、板東社長は「個人的にはやりたいがまだまだ力不足なので、当分は共同制作かコラボレーションという形を取っていく」と答えた。機材の提供についても、メーカーと協力関係を築いていくという。

●「HDR」「MPEG-4 ALS」など、新技術への対応も

 さらに、「ひかりTV 4K」は、「明るさ」「暗さ」をより忠実に再現する「HDR(High Dynamic Range)」や、オーディオ信号をひずみなく圧縮することでより高音質なサービスを提供できる「MPEG-4 ALS」などの新技術への対応も検討されている。

●スマホによって4Kが身近に感じる日も近い?

 板東社長は2015年度も4K事業に注力していくと語ったが、現状では4K映像を視聴するユーザーは一部のアーリーアダプター層に限られている。NTTぷららは4K映像の視聴者数を非公開としているが、ピーク時の同時接続数は「数百人」で、「まだまだこれから」と板東社長は話す。

 事実、一般家庭への4K認知度はまだ高いといえる状況ではないだろう。「まずは、実際に4K映像を見てもらうことが必要」と坂東社長は説明しており、家電量販店だけでなくドコモショップでも4K映像を流す試みをしているという。今後は大勢の人が集まるイベントでも積極的に4K映像を配信していく。4Kが名実共に普及していくには、ソフトウェアとハードウェアの両面での環境整備が求められる。

 しかし、最近ではスマートフォンで4K動画が撮影でき、それをMHL接続で4Kテレビに映すといったことも可能になってきた。「そう遠くない時期に、スマホで撮影した4K動画をテレビで見るのが当たり前になっていくときが来る。そういったトレンドをいかにビジネスに取り込むかが重要だ」と板東社長は展望を語った。

●販売チャネル開拓に課題 光コラボやネット契約も狙う

 発表会では、2016年3月末までの目標会員数をやや控えめな315万人に設定するなど、4K訴求が直接的にユーザー増加に寄与するとは考えていない節も見られた。新規会員獲得の鍵は「販路チャネルの開拓」だという。これまでは主に、家電量販店で「フレッツ光」を新規契約したユーザーのオプションとしてひかりTVを提供していたが、いつまでもこの販売方法に頼るわけにはいかない。光コラボモデルが会員獲得にどれほど影響するのかも「正直まだ分からない」という。板東社長は「今後はこれまで弱かったネットでの契約獲得も頑張りたい。例えばユーザー数の多いサービスと組むというやり方も考えられる」と意気込みを語った。

 だが、販売チャネルの拡大に注力するのは、ほかのVODサービスも同様だ。2014年秋に国内上陸予定の「Netflix」も、「VOD市場の活性化という意味では歓迎すべきだが、全世界で5700万人もの会員を抱えているのが脅威なのは間違いない」と板東社長はコメントする。販路の拡大という面では他社との競争はますます激化しそうだが、ひかりTVはVODだけでなく、IP放送、ゲーム、音楽、電子書籍の配信、ショッピングなどあらゆるサービスを提供するプラットフォームとしての強みがある。まずは「4Kに対応した国内最大のスマートTVプラットフォーム」をうたうサービスの認知度を高めていく必要がありそうだ。

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