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金沢大は、宇宙研究の拠点となる「超小型衛星研究開発室」を設置した。独自に衛星を製作、観測し、学生に運用のノウハウを身につけてもらう。新設予定の大学院コースで1号機を完成させ、4~5年後の打ち上げを目指す。
2014年度から始めた「金沢大学衛星プロジェクト」の一環。5か年計画で、18年には大学院に宇宙理工学コースを開設し、年に10人ほど受け入れていく。
2部屋ある研究開発室のうち「クリーンルーム」(約55平方メートル)では、衛星本体や搭載する観測装置の設計や製作を行う。宇宙と同じ真空状態の中で加熱・冷却して部品や本体のテストができる装置や、回路に使う電子基板を組み立てるための光学顕微鏡などを備える。
廊下を隔てた隣の「オペレーションルーム」(約33平方メートル)では、クリーンルーム内の機器を遠隔操作して動作を試験し、打ち上げ後は衛星の制御やデータの受信、解析をする。
当面は教員と研究室の学生で1号機を作っていく。50センチ四方の立方体で、重さ約50キロになる予定。地球周辺の電磁波と、遠く離れた宇宙から届く放射線を観測する。精度も「ノーベル賞が取れるぐらいのデータ」を測定していく。
大型衛星は数百億円を投入して10年がかりで製作される。一方、超小型衛星は、金沢大の場合で約1億円と安価なのが特長で、短期間のうちに作れるため、学生が衛星開発に最初から最後まで関われるメリットがある。
中心メンバーの八木谷聡教授(電波情報工学)は「超小型衛星で開発サイクルを早めることは、世界の研究進展に貢献でき、大型衛星にも成果を生かせる。地方の大学でも先端の宇宙研究ができることを若い人に知ってもらい、他大にも声をかけて研究を広げたい」と話した。