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マンションの場合、個人的に「専有部分」にかけている人は多いが、「共用部分」については見落とされがちだ。7月には保険料が改定される。その前に、管理組合で必要性を検討してみてはどうだろう。
千葉県の湾岸部にある2000年築のマンション(14階建て、90戸)は12年6月、共用部分の地震保険に加入した。
きっかけは前年3月の東日本大震災。同マンションには目立った被害はなかったが、周辺では液状化被害が発生するなどして、補修に数千万円かかった物件もあった。
当時、同マンションには1億円超の積立金があったが、その年の大規模修繕で使うお金だった。顧問を務めていたマンション管理士、吉田富美男さんは、「不測の事態が起きたとき、個々の居住者の負担が大きい」と、管理組合に対し、共用部分の地震保険に加入するよう提案した。
管理組合の臨時総会では、契約金額約2億4000万円(年間保険料約40万円)の地震保険に加入することを可決。各戸で負担する保険料は平均月400円ほど。管理費に組み入れて徴収している。
吉田さんは「月々の負担は若干増えたが、緊急時における資金不足の心配は軽減された。建物に大きな被害が出たときには、資力の乏しいマンションは再建へのハードルが上がる。保険での備えが必要なのでは」と話す。
共用部分にかける地震保険の内容は、個人が専有部分にかける場合と同じ=別項=。ただし、管理組合が契約する際には、一般的に区分所有者の過半数の同意を得ていることが必要になる。地震保険単独では加入できず、火災保険とセットで入る。
知っておきたいのは、保険金の支払い方法だ。建物の損害の認定は、柱や壁、はりなどの「主要構造部」の状況で行われる。エレベーターや、貯水槽などの給排水設備、機械式駐車場などは「主要構造部」にあたらず、その場所だけの損害では保険金は支払われない。
また、受け取れる保険金は、最高でも、セットで加入している火災保険の契約金額の半分となる。「全損」「半損」「一部損」の3段階の判定区分ごとの金額差も大きく、必ずしも被害のすべてをまかなえるものではない。
宮城県マンション管理士会などが震災後、仙台市などのマンションを対象に行った調査では、地震保険に加入していた298組合のうち275組合に保険金が支払われた。「全損」は2組合、「半損」は56組合だった。ただ、同会会長の高橋悦子さんは「金額が十分になくても、保険金の支払いが呼び水となり、復旧に向けた合意形成がスムーズに進んだ組合は多かった」と話す。
地震保険は7月に保険料が改定される。全国平均で15・5%上がるが、都道府県や建物の構造によって安くなる場合もある。
加入を検討する際のポイントは何か? ファイナンシャルプランナーの高田晶子さんは「居住者間で様々な考えがあり、負担も伴うもの。具体的な検討を始める前に住民アンケートを行うなどして、ある程度意見を集約しておくとよい」と話す。
【マンション共用部分の地震保険】
■契約者=一般的に管理組合
■補償の対象=地震・噴火・津波を原因とする建物の損壊や流失、火災などの損害
■契約方法=火災保険とセットで契約(中途契約も可)。契約金額は、火災保険の契約金額の30~50%の範囲で設定(上限あり)
■保険料など=立地する都道府県や建物の構造で決まる。建築年や耐震性能などに応じた割引制度がある
■保険金支払い=損害の程度により3区分。「全損」で契約金額の100%、「半損」で50%、「一部損」で5%