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ヤマト運輸が3月31日の受付を最後に、「クロネコメール便」を廃止する。そのあおりを受けて、ネット通販大手・アマゾンの名物となっているマーケットプレイスの「1円古本」が存亡の危機に立たされているという。本を古書店やネットで仕入れて転売する「せどり」と呼ばれる業者の利益が目減りし、「値上げもやむを得ない」(業者)というのだ。予告なしの一斉値上げも予想されるだけに、ネットを使って古本を買うなら3月中がよさそうだ。
売上高だけでニュースになるが……実態を明かさない“帝国”Amazonの秘密主義
アマゾンでネットショッピングする際によく見かける1円の古本。だが、実際には送料257円がかかるため、購入者は258円支払うことになり、リアル古書店でよくある100円均一のセール本よりは割高になってしまう。
それでも、なんとなく安いと錯覚する人は後を絶たず、「1円古本」の需要は大きい。アマゾンにはプロの古書店のほか、サラリーマンや主婦が小遣い稼ぎに「書店」を名乗り、数多く出品している。
本体価格1円で収入があるか? 数年来せどりを副業にしている40代会社員は「それなりの数を売れば収入になる」と、内情を明かす。
仕組みはこうだ。1円本が売れると1円+送料257円がアマゾンから出品者に支払われる。ただ、アマゾンは手数料として160円(カテゴリー成約料60円+基本成約料100円)を差っ引くので、出品者の実質的な利益は97円となる。このほか、アマゾンへの販売手数料15%も引かれるが、1円本では“銭”の単位になるため、実質ゼロになる。
さて、手取り97円の中から、出品者は送料を捻出する必要がある。そこで重宝されてきたのがヤマトのメール便だ。
A4判の大きさで厚み2センチ以内が164円、1センチ以内は82円で発送できる。アマゾン内で小口のせどりをやる場合、2センチサイズは赤字になるので、1センチ以内の書籍“主戦場”にしているという。
「商品の仕入れ値は基本タダ。友人の断捨離を聞きつけて大量に引き取ったり、図書館の放出イベント、時にはマンションのゴミ捨て場にある雑誌、写真集、新書、文庫といった薄手の書籍を狙う。人が捨てるぐらいなので、価値は低い。ほかの業者も出品しているので、価格競争の末、だいたい1円で下げ止まる」(同)
せどり会社員の熱弁は続く。「すると、メール便は1センチ以内、送料は82円で、手取り15円の利益が出る。ここから発送用封筒の費用を引けば微々たるものだが、月数万円の儲けを手にすることもある」(同)
だが、メール便はまもなく廃止。そこで代替サービスとして日本郵便は「クリックポスト」(長辺34センチ以下、短辺25センチ以下、厚さ3センチ以下、1キロまで164円)を打ち出したが、1センチ以内82円の設定はない。
ちなみに、アマゾンに月4,900円を支払い、大口契約にすれば、基本成約料100円が無料となる。この方法で1冊100円の利益を出すプロの古書店は多いが、いずれにせよ1センチ以内の送料アップの影響は受けざるを得ない。前述の会社員は「もう1円では無理。そもそもセコい商売でした」と、副業の“廃業”を考えているという。