全仏オープン会場の拡張・改修計画はパリの市議会が水曜日に新たな土地の活用計画を認めるなどしたため、一時差し止めとなっている。
　　地元住民や環境関係の専門家などに支援された市議会が、2017年に完成する予定だった全仏オープン会場の拡張計画について、異なった選択肢を提案することで論争がさらに拡大しているからだ。
　　環境問題の専門家グループは、新たに建設される予定の5000人収容のスタジアムの建設が、隣接する植物園の植物などの育成に影響を与えるとしており、計画の最初の段階からその差し止めを訴えてきていた。植物園は19世紀に造られたもので、コート・フィリップ・シャトリエから数百メートルの位置にあり、トロピカル系の花やフランスの花など数多くの植物が育成されている。
　　また、全仏オープンではセンターコートに開閉式の屋根を2019年までに建設したいとしていたが、この水曜日に市議会が認めた活用計画の調査が終わるまでは、建設にとりかかれないことになる。
　　全仏オープン側の計画は、当初から論争の種になっていた。フランステニス協会（FFT）は5年前の段階で会場の移設ではなく、拡張と改修計画を発表。2013年にも最終的には認められた拡張計画を巡り、地域住民からの訴えで数ヵ月間に渡って計画を差し止める仮処分を法廷から言い渡されたことがある。
　　全仏オープン会場の拡張は、FFTにとっては悲願。この計画が失敗すると、他国にグランドスラムが移転されてしまう可能性があると危惧している。
　　全仏オープンはグランドスラムの会場としてはもっとも小さい。この拡張計画では現在の21エーカー（およそ8.5ヘクタール=およそ東京ドーム1.8個分）から、34エーカー（およそ13.5ヘクタール=およそ東京ドーム2.9個分）に広げることになっている。　　代替案では、会場隣の高速道路側にコートを建設する計画があり、これはエコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣のセゴレーヌ・ロワイヤル氏（フランソワ・オランド大統領のかつてのパートナー）の支持を受けており、一方、元々のFFTの計画はマニュエル・バル首相、パリ市長のアン・イダルゴ氏などの支持を集めている。
　　また、代替案に対しては、パリが2024年のオリンピック招致に立候補するとしたら、その建設と一新作業が間に合わないとも論じられている。(C)AP
　Photo:PARIS, FRANCE – JUNE 08: A general view of Court Philippe Chatrier during the men’s singles final match between Rafael Nadal of Spain and Novak Djokovic of Serbia on day fifteen of the French Open at Roland Garros on June 8, 2014 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)