[3.22 J1第1ステージ第3節 甲府0-2G大阪 中銀スタ]
　
　　一人の存在が、これほどに大きいのか。第3節でヴァンフォーレ甲府と対戦したガンバ大阪は前半、試合の流れをつかめずに苦戦した。しかし、後半にMF今野泰幸がピッチに戻ると、流れが一変。終始、甲府を圧倒して2-0で、今シーズンのリーグ戦初勝利をつかんでいる。
　
　　試合後、DF米倉恒貴は「前半から別にやりにくくはなかった。前半は我慢して、後半っていう形だった」と前置きした上で、「後半から今ちゃん(今野泰幸)が入って、(パスを)つなげるようになった。一番デカいのは、常にパスコースに入ってくれる顔出し。後ろの選手からしたら、すごく助かる」と、前へボールを預けやすくなったという。さらに、「多少パスがズレても、マイボールにしてくれる」と言い、「デカイっすね」と、頼れるボランチの復帰を喜んだ。
　
　　MF明神智和の負傷を受け、前半11分に急遽出場し、ボランチに入ったMF倉田秋は、後半の今野投入と同時に2列目に移った。そこで再三にわたってドリブルで仕掛け、攻撃のリズムをつくり出した。甲府のDF山本英臣も「後半から左サイドに倉田選手が入って、ボールを運ばれてズルズルと下がってしまった」と、押し込まれた要因になったことを認める。
　
　　その倉田も「今ちゃんが入って、あそこで潰して速攻という形ができて良かった。ホンマ、オレらが上がって帰れないときでも、一人だけでも(相手の攻撃の芽を)潰してくれて、攻撃を遅らせてくれるので、ホンマに助かります」と、15番の大きさを噛み締めていた。
　
　(取材・文　河合拓)