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[写真]長野駅で金沢行き一番列車「はくたか591号」の発車合図をする加藤久雄長野市長(左)と大峽和志長野駅長
北陸新幹線の長野~金沢延伸区間が14日、開業しました。東京~金沢間は最高速度260キロ、2時間28分で、1時間20分余の短縮。首都圏と長野、上越、北陸、関西圏を結ぶ高速・幹線鉄道網の整備が一段と進みました。情報、人の交流促進や観光の地域間競争・連携の拡大で関係地域の活性化が期待されています。
金沢延伸の基点となるJR長野駅ではこの日午前6時前から出発式があり、6時11分発金沢行き「はくたか591号」をテープカットや記念撮影で祝いました。
東京~金沢が最短2時間28分
[写真]阿部守一長野県知事らが金沢延伸へテープカット
国交省の本田勝事務次官や阿部守一長野県知事らが「延伸により、沿線・関係地域の発展を期待したい」「北陸がいよいよ“近くて近い”関係になる。北しなの線をJRから引き継ぐ第三セクターのしなの鉄道とともに地域を盛り上げていきたい」とあいさつ。反対側ホームなどに集まった市民や乗客が盛んにカメラのシャッターを切っていました
一番列車を見送った長野市内の男性(23)は「金沢に行ってみたい。何か興味深いものが見つかるかも」と話し、朝のジョギング途中にホームに入ったという男性会社員(45)は「北陸はこれまで遠すぎました。兼六園を見たり、おいしいものを食べたい。長野は通過点になるという懸念もあるようだがそんなことはありません。信州も善光寺に人を迎え、スキー、登山を楽しむ魅力ある地域として自信を持ちたい」と話していました。また、20代の会社員女性2人は「富山のおいしい魚が食べたい。長野も頑張っているけれど、金沢や富山の魅力も大きいです」と、期待していました。
「かがやき」など4つのタイプ
北陸新幹線は、東海道新幹線と並び首都圏と関西圏を結ぶ延長約700キロの計画で、長野冬季五輪の前年の平成9(1997)年10月に東京~長野間が開業。その後長野県内の飯山、新潟県内の上越妙高、糸魚川、富山県内の黒部宇奈月温泉、富山、新高岡の各駅を経て石川県の金沢に至る建設を進めていました。
速達タイプの列車「かがやき」は東京~金沢間10往復、停車タイプの「はくたか」は同14往復と長野~金沢間に1往復、東京~長野間の「あさま」は16往復、富山~金沢間のシャトルタイプ「つるぎ」は18往復します。金沢延伸の基点となった長野駅にはこれまでの27本を大幅に上回る41本が停車します。
沿線の時間短縮は、在来線の上越経由がネックになっていた長野へのメリットも大きく、長野~金沢間が約2時間の大幅短縮になります。長野~上越間も近距離でありながら富山~東京間とほぼ同じ約1時間の短縮です。
沿線各県は、首都圏や関西とも近くなる金沢までの延伸効果に期待し、県によっては100億円近い波及効果を試算。誘客対策などで各県がしのぎを削り、商工会議所なども含め戦略を練っています。金沢、富山、長野など沿線の主要都市を中心に“都市間競争”と呼ばれる状況が生まれるとの予測がある一方で、都市間の協調・連携で信越・北陸の広域的な観光戦略の展開も可能になるとの期待も広がっています。
(高越良一/ライター)
本記事は「THE PAGE」から提供を受けております。
著作権は提供各社に帰属します。
THE PAGEが放送した生放送番組、THE PAGE 生トーク「中東とどう向き合うか~イスラム国から日本外交まで~」(http://thepage.jp/detail/20150302-00000006-wordleaf?)。出演は、黒木英充・東京外国語大学教授、鈴木恵美・早稲田大学イスラーム地域研究機構招聘研究員、高橋和夫・放送大学教授。司会・進行は、萱野稔人・津田塾大学教授、春香クリスティーンさん。
以下、議論の第2部「中東の今を理解するためのポイントとは? アラブの春やイラク戦争まで」を議論した部分の書き起こしをお届けします(第1部はこちら(http://thepage.jp/detail/20150315-00000001-wordleafv?))。
※討論の動画は本ページ内の動画プレイヤーでご覧頂けます。
パラダイムの転換期にある中東
[画像]黒木英充・東京外国語大学教授
以下、書き起こし
萱野稔人:はい。中東の今を理解するポイントは何か。今までのお話も踏まえまして、今の中東を理解するためには、何に注目したらいいのか、何がポイントになるのかっていうことをちょっとお話しいただければなと思うんですけども、まずじゃあ鈴木さん。
鈴木恵美:ポイントもいくつもあってなかなか難しいんですけれども、1つは今現在の中東がパラダイムの転換期にあるということだと思うんですね。
萱野:パラダイムの転換期。
鈴木:はい。これまでの中東、そうですね。50年に一度、100年に一度、起こるか起こらないかぐらいの大きなこう、いろんな大転換期にあると思うんですね。
萱野:そうですか。
鈴木:ええ。例を挙げると本当にいくつもあるんですけれども、例えば、アメリカの対中東政策の基軸国、要の国だと言われてきたエジプトとサウジアラビアにしても、アメリカとの関係1つ取ってもこの数年でだいぶ変わったわけですね。
萱野:そうですか。
鈴木:そうですね。エジプトは非常に親米、今でも基本的には親米ですけれども、アメリカべったりの国だったわけですけれども、それがロシアに接近して。で、ロシアが最近ウクライナ情勢でちょっと歩が悪いということになると、去年12月ぐらいから急速に中国に接近していて、これまでの中東って言ったらサウジアラビアとエジプトががっちりアラブ諸国を束ねるっていうような形がちょっと崩れてきてると。アメリカに石油を安定的に供給するためのタッグっていうのがちょっと崩れてきていると。
萱野:エジプトが例えば、ロシアや中国に接近する理由ってなんですか。
鈴木:もうこれは、エジプトがこれまでアメリカからいろいろ援助してもらってたわけですけれども、2013年に軍事クーデターが起きて、で、軍事クーデターで成立した政権を、アメリカとしては大々的に支援することができないわけですから。
萱野:一応そうですよね。軍事クーデターで成立したっていうことで。
鈴木:そうですね。だからといってアメリカ政府はエジプトを切ったりしないわけですけども、関係はやはり、相対的には悪くなって、援助金もちょっと減ってるわけですよね。
萱野:そうですか。サウジアラビアもアメリカべったりじゃなくなってるんですか、今。
鈴木:そうですね。ちょっとシーア派とかそういうちょっと話が難しくなっちゃいますけども、1つにはよく言われてるのはシェール革命ですよね。アメリカでたくさんエネルギーが自分たちで調達できるようになって、もうサウジアラビア要らないよというような方向に向かってきてると。
萱野:アメリカ自身もそういう方向に向かってる。
鈴木:そうですね。こういった感じでだいぶこれまでの中東関係、アラブ諸国の域内のパワーバランス、あるいはアメリカとの関係、ロシアとの関係っていうのも、がらっと今変わりつつあるという、非常に転換期にあるということですね。なので、なかなか理解するポイントとしては難しいんですけれども、今はいろんなものががらがらと動いているときだっていうことを1つにはやっぱり知っておくべきだと思うんですね。
萱野:そのパラダイムの転換、要するに大きな枠組みが変わるんだということだと思いますけど。
鈴木:そうですね。
萱野:今外交の話だったじゃないですか。内政って、国内的な状況でのパラダイムの転換っていうのはあるんですか。
鈴木:そうですね。それは地域なり、1カ国、1カ国でだいぶ状況が違うので、それぞれ見ていかないといけないとは思うんですけれども。
萱野:一言で言うと、でも、あの地域で起こってる国内的なパラダイムの転換があるとすればなんですか。
鈴木:そうですね。初めのテーマともちょっと重なりますけれども、これまでの秩序が崩壊したわけですから、その秩序を再生しよう、復活させようという勢力が強いのがエジプトですけども、もうずっと混迷しているのがシリアですよね。アサド政権はこれまでの政権を維持しようとしてますから、そういう状態であるとか、もうリビアも完全に内戦状態ですから、もう崩壊しちゃってるわけで、そういった感じでいろんなこう、まあ、枠組みが崩れているっていうことですね。
世界と中東の相互作用が現在を形作る
萱野:なるほど。今、パラダイムの転換、大転換だというお話ありましたけども、黒木さんは何が中東を理解するためのポイントだというふうにお考えですか。
黒木英充:今、鈴木さんがお話になったように、その中東だけで話は収まんないですよね。アメリカが出てくる、ロシアが出てくる、中国が出てくるっていう感じでね。これはもう、なんて言うか、それらがみんな総合的にお互いの関係の中で作ってるものだというふうにまず考えるべきだと思うんですね。
萱野:お互いの関係の中で作ってる。
黒木:つまり、中東、中東って言ってもいろいろですけれども、そこと、それぞれの、もう世界中がそことの関係、していると。もちろん、濃い薄いはあるにしてもですね。もちろんアメリカっていうのはそこでは一番大きな関わり方だろうと思いますけども。ですので、その相互的な問題として、だから、アメリカも変わりつつあるわけですよね、そういう意味では。ロシアも変わりつつある。だから、まずそういうふうに考えるべきだっていうことが1つですね。それとあとやっぱり、いくつか大転換期にあるっていうのは私もまったく同じ意見なんですが、でも、変わらないことも、変わらないっていうか。
萱野:変わらない部分もある。
黒木:なんて言いましょう。長期的な、もっと長期的な要素っていうのもあるわけで、それは例えば、例えば今イスラムのいろんな過激思想とか、ジハード主義とか、いろんな考え方ありますけども、いわばそれ突き詰めていくと、例えばイスラムが始まってまだ間もないころの7世紀に、自分と意見の違う人たちは、もうこれはイスラム教徒としては認めないって言って、ほかの多くの人たちから離れていく人たちっていう、そういう宗派みたいなのも表れてくるんですね。で、もう正しい信仰者ではないと、彼らは。だから、そのためには戦って殺してもいいんだっていうような考え方ですね。ですから、そういうものがいわば今、それ、その後もいろんな形でその考え方は、例えば18世紀のサウジアラビアの今のサウジアラビアの元になったワッハーブ派っていうのが出てきたときなんかにも、そういう考え方がよみがえってきてるわけですね。ですから、今起こってる、これは時代錯誤的なアナクロの話ではなくて、非常に古い層がぽっと顔を出してくるということがあるわけですね。それが1つですね。
それとあとは、今度はそのヨーロッパとの関係、欧米との関係で言いましても、例えばそれこそ今、イスラム国が十字軍ということを盛んに宣伝の材料として使ってますけれども、このイメージっていうのはやはりずっとあるわけですね。
萱野:要するにイスラム教徒からすれば、キリスト教徒がわれわれを侵害してるんだと。もう侵略しようとしてるんだっていう。
黒木:キリスト教徒っていうか、外のキリスト教徒ですね。自分たちにも、中東にもキリスト教徒はいっぱいいますからね。ですから、そうやって外から侵略してくるっていう、この感じですよね。
萱野:それはやっぱり欧米だっていうことになるんですよね。
黒木:最近の話ではなですね。で、それが、でも、よく考えてみると、今のシリアのアサド政権側の下で暮らしてる人たち。これもいろんな考えの人たちいますけれども、シリアの人口の中では大半を占めてるわけですけれども、そこにいる人たちからすると、いや、イスラム国こそまさに十字軍的に世界各地から集まって自分たちを攻撃してくるっていう、スンニ派の十字軍みたいな、そんな言葉さえ聞かれることもあるわけですが。ですから、まさに相互的な問題として。
萱野:そこは一枚岩じゃないですよね。でも、やはり外から侵略されてて、自分たちがやられてるんだっていう意識はものすごくあるっていうことですね。
黒木:ありますね。ただ、それもまた問題なんですけれども、中から外を引っ張り込むっていうこともあるわけです。隣のライバルをやっつけるために外の勢力を利用するっていうのは、この地域ではよくあることなんですよね。だから、常にサッカーをやってるように常に動いてるわけですよ。
萱野:それはでも、本当にわれわれからすると分かりにくいというか、何が起こってるのかっていうのはよく分かりませんよね。
黒木:サッカーをやるようなつもりになって。いくつかゴールがあって、なんかいろんなチームが入り乱れてて。
萱野:チームも何チームもあって、途中でユニフォームを脱ぎ変えるような形で。
黒木:入り乱れて、変えてると。そんな感じでやってる。
萱野:そうすると、われわれからすると、あれ? って。この前まではこういう力関係だったのが、今度はまったく違う勢力図になってるとか。
黒木:なってるわけですね。
萱野:別のところで紛争始まっちゃったりとか、やっぱりどんどん起こるわけですね。
黒木:そういうことですね。
萱野:それだと本当にわれわれも分からないっていうことになるとと思いますけど。
黒木:そうですね。だから、アメリカとロシアの力っていうのが、ここ20年ほどの間にぐーっと弱くなってきて、その分、そのさっきのサウジアラビアとか、今のトルコとか、あとは湾岸の、サウジアラビア以外の国々もいろんな形で動き出してるわけですよね。それぞれの自分の国の体制とか環境とかいろんな思惑があって、そういう多極的な、多極的な混乱ですね。
萱野:アメリカの影響力が中東で落ちたっていうのはよく言われますけど、ロシアの影響力も下がってると考えたほうがいいんですか。
黒木:ソ連のときから考えれば、やはり両極で押さえていたっていう、なんかその仕組みが崩れているっていうことは確かだろうと思います。これは高橋さんのほうがお詳しいと思いますけど。
アメリカと中東のかかわり
萱野:いや、本当、すごいややこしい話がやっぱり出てきてしまうわけですけれども、ちょっと高橋さんから見ると、中東を理解するポイントはなんですか。一番のポイント。
高橋和夫:私はもともとイランをやってたんで、イラン中心的な史観で見るんですけど、やっぱりイラン革命以降、中東の国際政治を規定してたのはイランとアメリカの綱引きだったんですよね。だから、エジプトもサウジもみんなアメリカに付いて、イランはほとんど独りぼっちだけど、シリアのアサド政権とか、ヒズボラとかが付いてる。それを、そういう構図があったのにアラブの春以降、アラブ陣営がばらばらっと崩れた。で、イランの陣営のほうもアサド政権ががたがたときた。で、しかも、今イランとアメリカが核問題で話し合いをして、仲良くなりつつあるというんで、これまでのイランとアメリカっていう分かりやすい構図がなんかぐちゃぐちゃとなってしまって、あれ? という感じですよね。
ですから、今、イスラム国に対する攻勢、イスラム国はアメリカの敵でもあるし、イランの敵でもあるんですけど、アメリカとイランが同じ側に立ってイスラム国と戦ってるという。だから、これまでのセ・リーグとパ・リーグじゃなくて、セ・リーグとパ・リーグ、交流戦やっててという感じがちょっとして、これは見てる人は混乱しますよね。
萱野:なるほど。スポーツの比喩が結構出てきますけども。そうか。イランとアメリカがずっと綱引きをしてたと。これ、どこまでさかのぼると考えたらいいですか。イラン・イラク戦争のころももうさかのぼれるっていうことですか。
高橋:たぶんイラン革命ですよね。だから、それまではイランの政権はアメリカべったりでしたから。
萱野:なるほど。79年。
高橋:79年でぱっと。
萱野:イラン革命によって。あそこで急に緊張が高くなって、そこからずっと綱引きが始まって、で、イラン・イラク戦争が起きる。で、ずっとアメリカはイランと戦うイラクを支援し続けるけども大きくなりすぎて、結局、湾岸戦争でたたいて。という形でちょうど冷戦も終わって、その後、イラク戦争があって。ずっと、でもそれは図式はやっぱり変わってなかったわけですよね。
高橋:そうですね。
萱野:イランとアメリカが綱引きをする。その中で力のバランスをなんとか保ちながら、中東を安定化させようという意図がお互い働いたと。でも、それが崩れてきてしまったということですよね。
高橋:お互い話し合いましたからね。真ん中にいた国々は、なんなんだ、アメリカはとか思いますよね。サウジとかエジプトはね。
萱野:そうですね。なるほど。それはなかなか明快な図式かな、という気はしますけども。
高橋:うん。たいていの明快すぎる図式っていうのは間違って、詳細を排除してるんですけど、この図式もそうなんですけど、でも、詳細から入ると、本当に全体図が見えないから。うん。
———————-
※書き起こしは、次回「第3部」に続きます。
■プロフィール
黒木英充(くろき ひでみつ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専門は中東地域研究、東アラブ近代史。1990年代に調査のためシリアに長期滞在、2006年以降はベイルートに設置した同研究所海外研究拠点長として頻繁にレバノンに渡航。主な著書に『シリア・レバノンを知るための64章』(編著、明石書店)など。
鈴木恵美(すずき えみ)
早稲田大学イスラーム地域研究機構招聘研究員。専門は中東地域研究、近現代エジプト政治史。著書に『エジプト革命』中公新書、編著に『現代エジプトを知るための60章』、他、共著多数。
高橋和夫(たかはし かずお)
評論家/国際政治学者/放送大学教授(中東研究、国際政治)。大阪外国語大学ペルシャ語科卒。米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『アメリカとパレスチナ問題』(角川書店)など多数。
萱野稔人(かやの としひと)
1970年生まれ。哲学者。津田塾大学教授。パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。博士(哲学)。哲学に軸足を置きながら現代社会の問題を幅広く論じる。現在、朝日新聞社「未来への発想委員会」委員、朝日新聞書評委員、衆議院選挙制度に関する調査会委員などを務める。『国家とはなにか』(以文社)、『ナショナリズムは悪なのか』(NHK出版新書)他著書多数。
春香クリスティーン
1992年スイス連邦チューリッヒ市生まれ。父は日本人、母はスイス人のハーフ。日本語、英語、ドイツ語、フランス語を操る。2008年に単身来日し、タレント活動を開始。日本政治に強い関心をもち、週に数回、永田町で国会論戦を見学することも。趣味は国会議員の追っかけ、国会議員カルタ制作。テレビ番組のコメンテーターなどを務めるほか、新聞、雑誌への寄稿も多数。著書に、『永田町大好き! 春香クリスティーンのおもしろい政治ジャパン』(マガジンハウス)がある。
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[写真]ダウ平均株価の採用銘柄となるアップル
以前から噂されていたアップルの時計型ウェアラブル端末「アップルウォッチ」が発売になりますが、株式市場でもアップルが話題になっています。同社株がダウ平均株価の採用銘柄となることが決まったからです。
ダウ平均株価を算出している米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは6日、代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均の構成銘柄にアップルを採用すると発表しました。通信サービス大手のAT&Tと入れ替わることになります。
ダウは、1896年以来、119年間(30銘柄になってからは87年間)にわたって米国を代表する株価指数として使われてきました。ダウの構成銘柄は常に見直しが行われており、時代の主力となる銘柄が採用されていきますから、構成銘柄を見れば、その時代にどのような産業が主役だったのかがひと目で分かります。
創設当初から構成銘柄を維持しているのはゼネラル・エレクトリック1社しかなく、同社も過去2回、構成銘柄から外れたことがあります。2013年には大幅な見直しがあり、アルミ大手のアルコア、コンピュータ大手のヒューレット・バッカード、大手銀行のバンク・オブ・アメリカが構成銘柄から外れる一方、ゴールドマン・サックス・グループ、クレジットカード大手のビザ、スポーツ用品大手のナイキが加わっています。
アップルの時価総額は世界最大で約90兆円もありますから、ダウの構成銘柄に入っていなかったことの方がむしろ不思議なくらいです。アップルが構成銘柄に入っていなかった理由は、ダウ平均株価の持つ性質にあります。
ダウは、ダウ方式と呼ばれる計算方法で算出されます。これは、構成銘柄の株価を単純平均し、新株の発行や分割などで見かけ上の株価が安くなった場合には、これを修正し指数の連続性を保てるようにするというものです。株価が著しく高いアップルを構成銘柄に入れてしまうと、アップル1社の値動きでダウが大きく変動してしまうので、採用に躊躇していたわけです。
ちなみに日経平均株価も、かつては日経ダウと呼ばれていたことからも分かるように、ダウ方式で計算されています。ダウ方式の株価指数については、時価総額が反映されないことなどについて批判の声もあります。しかし、単純平均で連続性を保った指数は、過去からの推移を直感的に見るには最適な指標です。このため、古くなったという声が出てきているにもかかわらず、ダウと日経平均は今でも投資家には愛用され続けているのです。
アップルは2014年6月に分割を発表、見かけ上の株価は7分の1となりました。これによって、他のダウ採用銘柄と同じ株価水準となり、ようやく構成銘柄の仲間入りを果たしたというわけです。
(The Capital Tribune Japan)
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日本銀行がおこなった大規模な金融緩和によって、一気に円安へと動き出し、輸入に依存している様々なモノやサービスの価格を押し上げています。
そもそも円安における値上がりのカラクリはどのようなものなのでしょうか。
例えば、為替レートが1ドル=100円だったのが120円と円安になった場合、100円で買えていた1ドルのものが、120円支払わなければ買えないことになります。企業に置き換えれば、輸入によって商品の原材料を仕入れた場合、円安によって原材料の価格が高くなり、仕入れコストの負担が大きくなります。その結果、利益が圧迫されるので販売価格に転嫁し、消費者へ実質的な値上げとして販売することになります。仕入れコスト以外にもエネルギーコストや物流コストなども増加して企業の負担はさらに拡大していきます。
販売競争が激化している中で値上げを避けたい企業は多いと思われますが、企業努力だけでは今回の円安によるコスト高を吸収することは難しいようです。
[図表]2015年 値上げ食品・生活用品一覧 (2015年3月13日時点)
さて、どのようなものが値上がりするのでしょうか。
今年1月からカップ麺や袋麺などの即席麺は5~8%の値上げをはじめ、パスタは5~13%、家庭用食用油は8~10%、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの家庭用紙製品は10%以上の値上げが行われました。2月には冷凍食品やレトルト食品が3~10%の値上げ、3月から4月にかけては、アイスクリームが8~10%、牛乳が2~5%で、ヨーグルトは2~6%、そして、ケチャップは4~13%の値上げなどが行われていきます。5月に入ると、カレーやシチューなどの家庭用即席製品、ティーパックなどなど、今後も値上がりする商品は目白押しです。
なかでも政府が一元的に市場へ安定供給するとともに国内生産者を守るために有している小麦については、4月から製粉会社に販売する主要5銘柄の平均の輸入小麦価格を3%値上げします。ちなみに日本での小麦の消費量の9割は政府が輸入したもので小麦を原料とした食品などは値上げの対象となります。
この先も円安が続くようであれば値上げの影響はあらゆるものに波及していくと思われます。モノやサービスの値段が上がるインフレを積極的に促進して、長く続いたデフレ社会から脱却することが経済成長につながる起爆剤といわれてきました。しかし、円安による値上がりは、そうではありません。本来、国民全体の購買意欲が拡大し、モノやサービスが売れて品薄となり、需要が供給を上回って生じる値上がりであれば、給料も増えて景気拡大へのシナリオとなります。しかし、円安による値上がりでは景気が拡大するどころか国民の財布の紐は固くむすばれ、さらなる節約思考が蔓延していきそうです。
(文責 いちのせかつみ)
■いちのせかつみ ファイナンシャル・プランナー、生活経済ジャーナリスト。平成6年にCFP(R)資格を取得。家計からみた人生設計の考え方に関しては第一人者。レギュラー・コメンテーターとして、毎日放送、朝日放送などのテレビやラジオに出演する一方、講演会やセミナー、執筆活動など多方面で活躍中。
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[写真]どこか懐かしさを感じるパッケージに包まれた「生しるこサンド」。つぶあんとこしあんの2種類
愛知みやげとして知られる「しるこサンド」を製造販売する松永製菓(同県小牧市)が、直営店「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」をオープンさせた。その直営店で販売される目玉商品のビスケット菓子「生しるこサンド」が早くもSNSなどネット上で話題となっているが、いったいどのような商品なのだろうか?
小牧市で製造、1966年販売開始
愛知県をはじめとした東海エリアで老若男女に長く愛されている「しるこサンド」。愛知出身のタレントやアイドルなどがテレビ番組や雑誌、SNSなどで紹介したことで近年全国に知名度と人気が広がったビスケット菓子だ。
今や愛知の定番みやげのひとつとも言え、名古屋駅などのみやげ店はもちろん、全国のスーパーマーケットなどでも購入することができるが、愛知県小牧市で製造されていることはご存じだろうか。
このしるこサンドは、同市に本社工場を構える松永製菓が1966年に販売を開始した看板商品。北海道産あずきとりんごジャム、はちみつなどを独自のブレンドで練り上げた特製のあんをビスケット生地ではさみ焼き上げた三層構造の菓子で、昔から変わらない味も人気の秘訣だという。
アイデアの集大成・新商品「生しるこサンド」
話題の生しるこサンドは、構想から10数年の時を重ね完成したという新食感の半生菓子で、直営店だけの販売。つぶあん(160円)とこしあん(140円)の2種類があり、北海道産のしゅまりあずきが入ったクリームとしっとりしたクッキーとの相性が絶妙だ。つぶあんにはこのクリームとふっくらと炊き上げられた、かのこ豆がサンドされている。
同社コンプライアンス室チーフの藤田さんによると、「生しるこサンドは、長年あたためてきたアイデアの集大成といえる自信作です。
この直営店でしか手に入らない商品なので、ぜひ足を運んでもらいたいです。ここだけの限定商品が他にもあるので楽しんでもらえると思いますよ」という。
直営店で楽しめる「ビスケットバイキング」
[写真]買い物客で混雑する店内。写真の右奥がカフェスペースとなっている
直営店では、生しるこサンドや限定商品が買えるほか、併設された飲食スペースでは、しるこサンドをはじめとした20種類のビスケットのうち、常時12種類が食べ放題となる「ビスケットバイキング」を開始。休日などには待ち時間も発生するほどの人気ぶりだ。
バイキングを楽しんでいた同県安城市から訪れたという28歳の女性は、「テレビの情報番組で知りました。しるこサンドのファンなのでさっそく家族で来ました」と話した。バイキングはフリードリンク付き60分間380円(4月1日以降は価格未定)。
地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=35.29318430000001&lon=136.89652169999994&z=15
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