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ITの活用による校務の効率化など、教員の負担を減らす工夫が広がっている。
愛知県小牧市教委は2004年度、全市立小中学校で校務支援システムを導入した。学校ごとに児童生徒の成績や出欠状況を記録し、予定や連絡事項を書き込む。06年度には全教員にパソコン1台ずつを配備した。
当時、市立光ヶ丘中校長だった玉置崇・小牧中校長(58)が、教員たちが成績や出欠を手書きしているのを見て、「一般企業のように、学校でもITを活用できないか」と発案。同県の情報システム会社が開発した。市教委は維持費などに年間3億円をかけている。
光ヶ丘中では、教員間の連絡事項を電子掲示板で伝え、毎朝の職員の打ち合わせを週3回にした。手の空いた教員は校門で生徒を迎えている。空き教室などの利用状況もネット上で管理。全市立学校の教員らとメール交換が可能になり、他の中学校と部活動の練習試合などについて気軽に相談している。
08年度には自宅で作業できる機能も新たに設けられた。それでも、夜9時過ぎまで残っている教員もいる。野田幹広教頭(51)は「以前よりもかなり効率化されたが、メールが膨大になるなど処理に時間が取られることも増えた」と語る。
全国での校務支援システムの整備状況は、文部科学省が調査を始めた10年度は52.3%だったが、13年度には80.5%と急激に拡大。大分県では全県立学校でシステムを整備しており、今年度は大阪市も本格的に導入した。
しかし、教員の忙しさは解消されていない。昨年、日本が初めて調査に加わった経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の中学校教員の1週間あたりの勤務時間は参加国・地域中で最長の53.9時間。このうち、課外活動の指導時間が7.7時間と平均2.1時間の3倍以上で、事務業務5.5時間も平均2.9時間の倍近かった。
文科省では今年、教員以外の力を有効に活用する「チーム学校」構想を掲げ、中央教育審議会で学校組織の総合力を高める方法について議論を始めた。今後10年間で事務職員を3000人増やし、事務業務を任せる計画だ。部活動への外部人材の活用も検討する。
教員の忙しさを軽減するため、情報交換を図る教員専用のSNS「SENSEI NOTE」を運営する浅谷治希さん(29)は「自治体からの調査回答や様々な申請書の作成など、先生たちは大量の事務作業に追われている。教材研究や生徒と向き合うなど、本来の仕事に全力投球できるようにすべきだ」と話している。
文部科学省の調べによると、精神疾患による教員の病気休職者は、2012年度で4960人。在職者全員の0.54%。精神疾患以外はほぼ横ばいなのに対し、精神疾患は近年、大幅に増えており、長時間労働や業務量の多さが問題になっている。
「教育ルネサンス」では、「先生はなぜ忙しいのか」(2006年11~12月)を、光ヶ丘中学校などの事例を基に考えた。(泉田友紀)