社会そのほか速
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Vineは、元々ニューヨークの3人の若者が去年の6月に創業したベンチャーで、まだ製品もリリースされていなかった10月にツイッター社が買収しました。
これまでツイッターやフェイスブック上でのユーザー間のシェア(共有)の対象としては写真の方が非常に人気で、動画はなかなか大きくブレークしませんでした。このコラムの「鳴り物入りで終わったColor」(2012年11月21日掲載)で昨年紹介したColor社もフェイスブック上での動画シェアにトライしましたが、30億円以上を調達したのにもかかわらず姿を消してしまいました。
Vineの特徴は動画の制限時間が6秒なこと。ユーザはVineのモバイルアプリを立ち上げて録画してアップロード。できあがった動画はVineのアプリ上でも一般のブラウザーでも見ることができ、再生時には6秒の動画がループされ無限に繰り返します。
「6秒で何ができるのか」と思うかもしれませんが、これが意外に楽しめます。特に「ループになる」というのがミソで、たった6秒でもかなりの満足感があります。また、6秒をさらに分割して2秒のクリップを3個つなげてストーリー性を持たせたり、1秒を6個つなげてアートな雰囲気にしたり――といろいろなトライがされており、企業や映像アーティスト、ミュージシャン、俳優、コメディアンといったプロによる作品も多数あります。そうした中から特に人気のあるものを選んでつなげたVineベスト集的な動画がインターネット上のあちこちにあり、ついつい時を忘れて見入ってしまいます。
さて、数秒の動画のループは、実はこれまでも密(ひそ)かに人気がありました。インターネットアクセスのあるアメリカ人の6パーセントが見ている掲示板サイトRedditにもgifsというカテゴリーがあり、毎日多数の動画へのリンクが掲載されています(gifはそうした動画のフォーマット名です)。その中には面白いものもあれば、衝撃的なものもあります。多くの場合たったの数秒にエッセンスが凝縮されています。
考えてみると、どんなに長い動画でも、見どころはたったの数秒であることが多いものです。ペットのかわいらしいしぐさにしろ、列車事故にしろ、見たい「何か」が起こるのは一瞬。gif動画はそうした「何か」だけをループにすることで、短時間でたくさんの情報にアクセスしたいインターネットの先進ユーザーの心をつかんできました。そんなgif動画のアンダーグラウンド的な面白さを一般ユーザーでも楽しめるようにしたのがVineなのです。
よくも悪くも、人間が一つのことにフォーカスできる時間は年々短くなってきています。昔は「モノを読む」と言えば本を一冊読むことだったのが、ウェブサイトの1ページをあちこちつまみ食いするのが主流になり、さらにはツイッターの140文字を流し読みするようになりました。Vineは、こうした「関心を維持できる時間の短縮傾向」を動画に反映させたサービスと言えるでしょう。
なお、Vine、ユーザー登録せずに動画を眺めるだけでも楽しめますので、興味のある方はスマートフォンにダウンロードしてみてください。