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東日本大震災で被災し一部不通の仙石線が5月30日に全線開通するのを前に、JR東日本仙台支社は21日、報道陣向けの列車試乗会を開いた。車窓からは急ピッチで進む宅地造成工事や新築された防潮堤も見られ、かつての仙石線とは異なる風景が広がっていた。【百武信幸】
記者が乗車したのは不通区間の宮城県高城町(松島町)-陸前小野駅(東松島市)の10.5キロ。商店や住宅が建ち並ぶ高城町駅から乗車した。
<高城町駅から東名駅手前の新旧ルートの分岐点まで>高城町駅から2駅目の陸前富山駅に着くと、右手に松島湾が見える。好天に恵まれ、太陽がキラキラ反射してまぶしい。次の陸前大塚駅付近までは海沿いを走る。松島湾に浮かぶ小島や漁船が間近に見える。震災前は車窓から望める美しい夕日などの眺望が人気だったが、津波により陸前富山、陸前大塚両駅は浸水し、線路も冠水した。
このため両駅ともホーム前の防潮堤をかさ上げし、陸前大塚駅では高さ約3.7メートルの壁が視界をさえぎる形になった。JR仙台支社広報室の遠藤潤爾室長は「安全面でやむを得ない対策だった」と話す。陸前大塚駅を出た列車は、緩やかなカーブを曲がり、徐々に海から遠ざかって新ルートへ入っていく。
<新ルート付近>東名、野蒜(のびる)駅は駅舎が流失するなどし、その一帯も大きな被害を受けたため、線路を約500~600メートル内陸に移設。両駅とも山を切り崩した海抜約22メートルの高さに新設し、電車は勾配を上っていく。両駅一帯は448戸の災害公営住宅などが整備される「野蒜北部丘陵地区」で、来年度の引き渡しに向け工事車両がひっきりなしに動く様子が見える。工事を請け負うUR都市機構の担当者は「5月の開通に合わせ、アクセス道路の整備も急ピッチで進めている」と話す。
<野蒜駅から陸前小野駅へ>周囲は田植え前の土色の田んぼだが、全線開通するころには緑色に染まっているだろう。同支社の伊在井昇・震災線区復旧担当課長は「4年が過ぎ、ようやく全線開通できる。安全な輸送を確保し、通勤通学や奥松島観光など多くの人に利用してほしい」と期待を込めた。
このほか車内には、沿岸走行時に地震が襲った場合に備え「津波警報発表時に車外に出る場合」と題されたステッカーが貼られている。震災後、仙石線や東北線にも貼っているといい、駅以外で降車する際に使う「避難はしご」の使い方や、最寄りの避難口の方向を示す看板が線路上にあることを記載。看板には「戻れ」「300メートル進め」などと書かれており、遠藤室長は「沿岸部で地震に遭い、津波の恐れがある場合は乗務員の指示と誘導看板に従って避難してほしい」と話した。