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■「レベル低下物語る」
「号泣県議」をきっかけに地方議員の資質低下が指摘されるなか、議会での質問をアドバイスする議員向けの有料サービスが登場した。「良い答弁を引き出せる」「執行部もタジタジ」などをうたい文句にしており、利用実績もあるとしている。「議会質問は議員活動の根幹。こうしたサービスが現れること自体、議員のレベル低下を物語っている」と嘆く声も。3日には41道府県と17政令市の議員を選ぶ選挙戦が始まる。有権者は「センセイ」を選ぶ確かな目を求められる。
「あなただけに議会質問の『コツ』教えます」「統一地方選をにらんで実績作りに最適」
ある地方議員のもとに昨年、こんな言葉の並んだダイレクトメールが届いた。送り主は、岡山県内の一般社団法人を名乗る団体。議会質問のサンプルを有料で提供するという内容で、年会費は定例会4回分で9万7200円としている。
同じ議会でサービスを利用する議員が重複すると困るためか、「1議会1名様」という“限定募集”の断りがついている。
団体のホームページ(HP)には、利用した地方議員の声として「そのまま一般質問に使わせていただきました」「議会の質問で提案したところ、事業化された!」などと記載。編集・執筆陣として、岡山県の元県議と元県職員の経歴を持つ2人が紹介されていた。産経新聞の取材に対し、団体側は「HPの内容以上の情報は答えられない」と回答した。
◆「怠け者の楽園」
議会質問は本来、自分で地道に集めた住民の声などを基に調査・研究してまとめ、自治体側に問うのが基本。「こんなサービスが出てくる背景には、議員の質低下がある」と指摘するのは、地方自治ジャーナリストの相川俊英さん。
「選挙でアピールできる実績がほしいのかもしれないが、他人に丸投げで作らせた質問で、努力もせず執行部から答弁を引き出す手抜き議員が増えると、議会は『怠け者の楽園』になる」と相川さんは警鐘を鳴らす。
政策コンサルタント、室伏謙一さんは、「欧米ではシンクタンクなどが政党や政治家の政策立案やスピーチ作成をサポートしており、国内でも徐々に定着しつつある。これ自体は歓迎すべきことだと思うが、さすがに質問文を丸投げするのは次元が違う。付け焼き刃の質問では意味がない」と指摘する。
選挙コンサルティング・政策立案補助などをする「ジャッグジャパン」(東京都渋谷区)によると、同社は年間10件程度、地方議員からの依頼で議会活動全般の支援を請け負っているという。
主な内容は、政策に関する調査やデータ収集、議会での一般質問の際に使用するフリップなどのツール作りだが、どのような質問をすればいいかといった立案依頼や、質問の文言まで作成してほしいといった依頼もあるという。費用は決して安くはないものの、問い合わせは増加傾向にあるという。
同社は「議会質問の文言は議員自身に作成していただくのが本来の姿だと思っている」とした上で、それでも新人議員など支援を必要とする人の要望に応じることもあるとしている。
◆国政でも丸投げ
このほか、国政レベルでも、政策コンサルタント会社が野党政党と契約を結び、国会質問などのサポートを請け負ったケースは過去にもあった。
このコンサル会社の元研究員は「請け負う業務は質問のためのデータ集めや調査が主で、質問文作りを丸投げされるケースはほとんどなかった」と説明。その上で、「与党の場合、国会質問に使うデータを、答弁する側の官庁の役人に集めさせたり、ひどい場合は役人に丸投げで質問文を書かせるケースが過去にあった。不勉強な議員は国会にもいます」と指摘した。