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自分で採血して手軽に健康状態などを調べる「セルフ健康チェック」が広がっている。定期的な健康診断を受けにくい主婦や自営業者らを対象に、企業がドラッグストアなど身近な場所でサービスの展開を進める。政府も規制改革で後押しし、健康寿命を延ばす新産業として期待が集まる。
「人さし指か中指に採血器をカチッと音がなるまで押しつけると針が出ます」。ツルハドラッグ小竹向原店(東京都板橋区)の調剤コーナーの一角で、管理薬剤師の笹川雅浩さんが自己採血を指導していた。
採血器を離して指先から流れる血液をチューブに数滴垂らし測定値を安定させる遠心分離器に約2分間かける。チューブを送付用の袋に入れるまで10~15分で済み、「忙しいサラリーマンや子育て中の主婦が気軽に健康をチェックできる」(笹川さん)。
三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の健康ライフコンパス(同千代田区)が展開する健康チェックサービス「じぶんからだクラブ」の一幕だ。血液は冷蔵状態でグループの検査会社に送り、肝臓や糖尿など生活習慣病に関係する13項目を検査。1週間程度で結果が店舗に届き、医師の監修のもと薬剤師や管理栄養士から助言を受けることもできる。
料金は3067円で、ドラッグストアなど全国281店舗(2月末時点)で運営する。同社の佐藤龍平社長は「年内に1000店舗を超える。フィットネスクラブの会員ら健康への意識が高い層も取り込み、健康寿命を延ばすことに貢献したい」と語る。
予防医療事業を手掛けるケアプロ(同中野区)は、中野区と川崎市の直営2店や催事場に設置する検体測定室で自己採血による健康チェックを展開する。利用者が気になる1項目を540円から検査でき、3分程度で結果が分かる。2008年11月のサービス開始から累計28万3473人(1月末時点)が利用。50代主婦の利用が多いが、「頻繁に受け、健康状態の改善を調べたい人にも利用してほしい」(同社)という。
セルフ健康チェックが広がる背景には、政府の規制改革がある。従来、自己採血は医師の行う「医業」にあたるかどうかなど法的な位置付けが不明確なことが事業の足かせだった。だが政府が昨年1月、新規事業への規制適用の有無を原則1カ月で確認できる「グレーゾーン解消制度」を創設。ケアプロは同制度で“お墨付き”を得て、今月27日に京王線高幡不動駅(同日野市)の駅ビルに新店舗を開設するなど事業に弾みをつけることができた。
自己採血以外にも、化粧品・健康食品大手ファンケルが自分で口腔(こうくう)内の粘膜をとって解析会社に送付することで、生活習慣病のリスクを評価する遺伝子検査を展開している。
医療費拡大が続く日本にとって予防医療の充実が不可欠で、企業のサービス拡充でセルフ健康チェックの浸透が加速しそうだ。