社会そのほか速
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野球やサッカーのように「ゲームの達人」のプレーを観戦する「eスポーツ」の人気が高まっている。スポンサー収入やゲーム大会の賞金で生計を立てる日本初のプロが誕生。将来のプロゲーマーを育てる専門学校の開校も決まった。その盛り上がりに、ゲームメーカーも熱視線を送る。草創期からゲーム業界をけん引し、世界有数のゲーム市場を持つ日本だが、eスポーツという点ではまだまだ「発展途上国」だ。人材育成と環境整備を急ピッチで進め、新しいゲーム文化を育む。
■庭付きの大豪邸で共同生活
ゲーミングハウスではメンバーが寝食を共にしてチームワークを高める(千葉県船橋市)
西船橋駅から徒歩10分。住宅街の細い路地を抜けると、地下1階、地上2階建ての豪邸が姿を現した。日本初のプロゲーマーチーム「DetonatioN FM」のメンバーら総勢8人が共同生活を営む「ゲーミングハウス」だ。パソコンやゲーム機関連の周辺機器を手掛ける人気ブランド「ロジクール」などのスポンサーを集め、2月17日に活動を開始した。
「最高の物件が見つかった」。チームのマネジャーを務める梅崎伸幸氏は興奮気味に話す。敷地面積は440平方メートルで、間取りは9SLDK。広々とした庭付きの大豪邸だ。練習場所は1階のリビング(16畳)。スポンサーから支給された8台のモニターやヘッドホンが並ぶ。寝室は2階。床に布団を敷いて雑魚寝する。
共同生活をおくる選手は20~24歳。いずれも人気オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」のすご腕プレーヤーだ。LoLは世界に7000万人以上のユーザーを持つ米ライオット・ゲームズの代表作だ。5人1組のチーム戦で競うアクションゲームで、チームプレーが勝敗を左右する。
ゲーミングハウスでのチーム練習は昼と夜の2回。合計6時間はほぼすべてを実戦に充てる。日本時間の13~16時は米国西海岸の20~23時にあたり、現地の強敵と戦うのにうってつけだ。昼間をアルバイトや学業に時間を割くライバルにはまねできない濃密な練習になる。平日はゲーミングハウスで練習に没頭。土曜日は大会に出場し、日曜日は休日となる場合が多い。
食事や休憩の最中も、メンバーは動画配信サイトで他チームの対戦を観戦したり、次の試合の戦略を練ったりするゲーム漬けの毎日だ。メンバーの1人、Kazuは「一緒に住むことで、いつでも顔をつきあわせて意見交換できる」と話す。Kazuはフランスの大学に在籍していたが、退学してDetonatioNに参加した。腕前を見込んだ梅崎氏がKazuの両親を説得し、帰国の了解を得たという。
毎日ゲームに没頭でき、しかもお金までもらえる。まるで夢のような職業だが、現実は甘くない。チームの収支は費用に収入が追いついていないのが実情だ。
ゲーミングハウスは借家で、家賃は月約40万円。食費は8人分で約20万円。パソコンの電源は常に入れ続け、快適なゲーム環境を作り出すための空調にも気を使うため、水道光熱費には10万円強を投じる。これだけで、ざっくり月々70万円以上の出費になる。スポンサー企業は9社集めたが、スポンサー料を払っているのはロジクールなど3~4社とみられ、残りはモニターやヘッドホンなどハードの提供にとどまる。「このままでは初年度で数百万円規模の赤字になる」と梅崎氏は苦笑いする。大会賞金の獲得やネットでの動画配信のほか、「eスポーツに理解が深い海外企業のスポンサーも募る」(梅崎氏)