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欠損したマウスの脚の神経を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と人工神経を使って再生させることに成功したと、大阪市立大の中村博亮(ひろあき)教授(整形外科学)らのグループが発表した。米国の再生医療専門誌(電子版)に近く掲載される。事故などで傷ついた手や脚の神経を再生する新しい治療法開発につながる成果として期待される。
手や脚の神経の束は、切れても縫合すれば回復が見込める。欠損が2、3センチまでなら、管状の人工神経でつないで神経が伸びるのを補助することで再生が可能だ。
だが、神経が大きく欠損すると人工神経での再生は難しく、別の部分の神経を切り取って移植するしかなかった。この方法では、切り取った場所にしびれなどの感覚障害が残る恐れがある。
中村教授らは、神経細胞になる前の「神経前駆細胞」をiPS細胞から作り、管の内部をスポンジ状にした人工神経の中に入れて移植する方法を考案。マウスの後ろ脚のももの神経約5ミリを切り取った後、神経前駆細胞を入れた人工神経でつないで、神経の働きが回復するかを調べた。3カ月後には、脚の先端を50度の湯につけた時の反応速度が切断前と同じレベルに戻り、半年後にほぼ元通り歩けるようになったという。通常の人工神経だけでつないだ場合より、神経線維の再生のスピードが1.5倍速く、本数は2倍多かった。
神経前駆細胞が神経の周りを保護する細胞となり、再生を助けたと考えられるという。中村教授は「神経が10センチぐらい欠けても再生できるようにしたい。5年以内に臨床試験(治験)を目指す」と話している。【吉田卓矢】