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統一地方選後半戦の町村長、町村議選が21日、スタートした。前半戦に続き、多くの町村で無投票の当選者が決まった。人口減に直面する町村では自治の担い手不足が深刻化している。一方、人口が増えていても地域の事情で無投票になったケースがある。その一つが5回連続無投票の石川県川北町長選だ。背景には、町長のなり手を地区ごとに選んできた独特の政治風土に加え、豊かな税収による手厚い住民サービスがある。
川北町長選は、現職で無所属の前哲雄さん(61)が無投票で再選を決めた。前さんは事務所で「さまざまな計画や事業の実行を町民の皆さんから託してもらった。責任の重さを実感している」と述べた。1980年の町制施行以来、今回を含めて計9回の町長選があり、選挙戦となったのは95年の1回だけ。1999年以降、無投票は5回連続だ。
町関係者によると、明治期の旧3村から成る川北町では長年、町三役のポストを旧村ごとに一つずつ配分する慣習が続いてきた。現在も町長、副町長、教育長は各旧村の出身者に割り振られている。元町議は「一つにまとまっていこうという雰囲気の中でやってきた」と話す。
町内では手取川沿いの好立地に、大手電器メーカーや食品会社などの工場が相次いで進出。税収を元手に2000年、中学生以下の医療費無料化を県内で初めて実現し、水道料金や保育料も安い。人口は約6200人で、1970年から約2000人増えた。連続する無投票にも50代女性は「人口も増えており、町内で争いが生じないからいいのではないか」と肯定的だ。
一方、町長選と同じ21日に告示された町議選(定数10)には11人が立候補し、20年ぶりに選挙戦となった。町関係者によると、これまで22の地区ごとに調整し、定数と同じ候補者を選んできたが、今回は崩れた。
現職の一人は「人口が増え、すり合わせができなくなったのではないか」とみる。しかし、各地区の間でしこりを残さないよう、どの陣営も選挙カーは使わないという。【中津川甫】