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東京電力福島第1原発事故の避難者が住む「みなし仮設住宅」を巡り、避難支援者から情報公開請求された福島県が「供与期間延長の可能性」を示す部分を黒塗り(非開示)にしていたことが分かった。これまでも供与期間は1年ごとの延長が繰り返されており、行政側は先の見通しを明らかにしない。いつまで住めるのか分からない不安定な住環境に避難者は不安を抱き、生活に大きな影を落としている。【日野行介】
福島市の女性(43)は2011年5月、3人の乳幼児を抱えて自主避難し、埼玉県内の民間賃貸住宅に入った。みなし仮設住宅のため家賃の負担はないが、仕事のため福島に残った夫は月2回ほど金曜の夜に車で埼玉に来て日曜の午後には戻る。二重生活で1カ月当たり10万円近く支出が増えた。「事故を起こさないか心配で、この選択が正しいのか迷っていた」と振り返る。
それでも近所の線量が高いと聞き、まだ戻れないと感じていた。不安だったのは、みなし仮設住宅の打ち切りだ。「毎年春に『更新できる』と聞く度にほっとしていた」と話す。
女性は昨年3月、2番目の子供が小学校に入るのに合わせて福島に戻った。「先が見えない生活はもう限界。でも、納得して戻らないとうまくいかないと思う」とうつむいた。
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「避難者には『(退去の)準備はした方がいいかもしれない』と言っている。先が分からないから」。首都圏の自治体で避難者の相談に当たる女性は、供与期間が延長されるかどうかを聞かれる度にそう答えている。「誰からも指示されていないが、そう答えるしかない」と言う。
供与期間と共に多い相談が「住み替え」だ。洗濯機を室内に置けない古いアパートで避難者の若い女性が1人で住んでいるのを見ると住み替えを認めたいが、「その理由では無理」と退けざるを得ない。相談に当たった女性は「帰ることもできず困り果てている人も多い」と言う。いずれやってくる「みなし仮設住宅の供与打ち切り」の日を想像し、「避難者にどう告げれば良いのか。今から怖い」と打ち明けた。