社会そのほか速
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◇福島から避難 収穫体験「にぎやかに」
東日本大震災で福島県二本松市から鯖江市に自主避難した農業柑本(こうじもと)修さん(46)が、同市河和田地区で空き家を活用した農家民宿を4月に開業する。「人が集まり、地域が盛り上がるにぎやかな宿にしたい」。震災から11日で丸4年。福井の地で、新しい一歩を踏み出そうとしている。(渡辺彩香)
柑本さんは震災で自宅の倒壊は免れたが、放射能の影響が心配で、知人のいた福井市に家族と親類の計9人で避難した。現在は、鯖江市の県の借り上げ住宅で暮らし、借りた畑で黒ニンニクやカボチャ、里芋などの無農薬野菜を作っている。
震災から3年が過ぎた頃、「生活を震災前に戻すのは難しい。それなら新しいことに挑戦するのも復興じゃないか」と考えるようになった。野菜を生産する立場から、「安全だと自信の持てる食べ物を作り、届けたい」との思いも強く、福井に永住することを決めた。同じ頃、同地区に空き家が増え、活用策を探しているという話を耳にし、田舎暮らしを気楽に体験できる農家民宿の開業を思いついた。
同市上河内町の山あいにある築50年の木造2階建ての民家を購入。玄関の引き戸を開けると和室が広がり、いろりや縁側、水路もある。開業に必要な非常口マークや消火器は設けたが、生活感を損なわないよう改修は最小限に抑制。家具や食器は元の家主から譲り受けた。
宿泊客には、ふすまで仕切られた各8畳の4部屋を提供。台所は自由に使ってもらう。近くの畑で草取りや野菜の収穫をしたり、水路で野菜を洗ったり、地元の食材を使って料理を作ったりと、客の要望に応じて、体験プログラムを作る計画だ。
「震災直後、米や野菜や着る物など数知れない支援を受けた。だからこそ今度は地域に恩返しがしたい」。福井での避難生活で、自然の豊かさや水のおいしさ、人の温かさを知った。農家民宿では、そのわずかでも宿泊客に体感してほしいと願っている。