社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
大阪市立大文学部の増田聡准教授(44)(メディア論)が、授業の課題として、引用した文章のみを組み合わせる“パクリリポート”を学生に作成させている。
インターネット上の資料などを引き写す「コピぺ」(コピー・アンド・ペースト)による論文作成が問題となるなか、盗用について深く考えるきっかけにするのが狙い。大半の学生が「難しい」と感じ、リポートには、自分の意見を述べるための工夫も見られるという。
学生に課すのは、「完全なパクリリポートの作成」。テーマを決め、2000字をめどにリポートを書かせる。その際、インターネットや書物、新聞記事など10以上の出典から引用した文章を組み合わせる▽独自に執筆した文章を1字も交えない――などを条件にする。
増田准教授がこの取り組みを始めたのは、神戸大非常勤講師だった2009年。インターネットでの著作権の変容などについて講義していたことから、「コピペを禁止するというより、逆手に取って学生に真正面から考えさせてみよう」と思ったことがきっかけだった。
以来、講義を担当した京都大や京都精華大などでも、「盗作は非難されるべきか、擁護されるべきか」といったテーマで、同様の取り組みを続けてきた。大阪市立大の昨年度後期の講義では、佐村河内(さむらごうち)守氏の楽曲が代作だった問題を取り上げた。
毎年、約100人のリポートを採点。引用元の7割がインターネットのサイトやブログで、年々論旨が整ったリポートが増えているという。中には辞書などから単語単位で引用したとして出典を記し、自分の考えを記したものもあった。
リポートとともに、作成を振り返っての感想文も求めており、大半の学生が「既存の文章を組み合わせて、自分の意見を表現するのは難しい」「他人の文章の一部を切り取ることに罪悪感を感じた」といった感想をつづったという。
また、引用文を探すなかで、自分と異なる意見が多いことに気づき、「改めて自分の言葉で意見を書きたい」と、感想文に自分の主張を記す学生もいるという。
今年2月には、課題の内容を簡易投稿サイト「ツイッター」に投稿した。「おもしろい」「意義がわからない」などと賛否の声が寄せられ、700件以上転載される話題となった。
「ただ『盗用はダメ』と教え込んでも、ネットで調べて、答えることに慣れてきた世代には通用しない」と増田准教授。今年度も同様の取り組みを続ける計画で、「課題を通して、盗用や自分のオリジナルの考えとは何なのかなどを考えるようになってほしい」と話している。(黒川絵理)