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廃炉 広がる不安

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廃炉 広がる不安

 廃炉 広がる不安

 ◇市町財政、経済に打撃

  • 美浜原発1、2号機の廃炉を西川知事(右)に報告する関西電力の八木社長(県庁で)
  •   関西電力美浜原子力発電所1、2号機(美浜町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(敦賀市)の3基の廃炉が17日に決まったことで、国内最多の商業炉13基を擁して関西などのエネルギー需要を支えてきた県内は「廃炉時代」に入った。複数原発の同時廃炉を経験するのは福井が初めて。3基の廃炉は既定路線だったため、西川知事や両市町長は決定を冷静に受けとめたが、市町の財政や地域経済への影響は必至で、新増設を求める声が強まりそうだ。

      ◇首長ら冷静

    • 廃炉が決まった美浜原発1、2号機の中央制御室(9日、美浜町丹生の関西電力美浜原発で)=代表撮影

        この日、西川知事、河瀬一治・敦賀市長、山口治太郎・美浜町長はいずれも両社幹部から、それぞれ廃炉決定の報告を受けた。

        西川知事は関電の八木誠社長と原電の浜田康男社長と県庁で相次いで面談。西川知事は、数十年かかる廃炉作業中の安全確保などのために廃炉に関する安全協定の締結や、廃炉の進行状況を確認する協議会の創設などを要請。国内最多の原発が立地する地域事情に触れ、「(廃炉は)これからも出てくる」と廃炉作業の新産業化など地域振興も求めた。

        敦賀1号機は元々、2016年に運転を終える予定だったため、敦賀市の河瀬市長は廃炉決定を冷静に受けとめた。ただ、敦賀2号機が原子炉直下の破砕帯(断層)問題で廃炉の可能性が濃厚な上、敦賀3、4号機の新増設計画がストップし、長年敦賀市の基幹産業だった原発がゼロになる危機に直面している。このため報道陣の取材に「北海道の夕張は炭鉱がなくなって寂れた。国のエネルギー政策に協力してきた原子力の立地がそうなってはならない」と話した。

        ◇「地場産業だ」

        市商店街振興組合連合会の新道忠雄理事長(79)も「運転開始から40年を超す敦賀1号機の廃炉は、ある程度納得できる。ただ、市にとって原発は地域経済を支える地場産業だ。運転停止で人通りが少なくなり、居酒屋やホテルも客足が落ちた。敷地造成を終えている敦賀3、4号機の増設を進めてほしい」と要望。

        松島民宿組合の長野正義組合長(62)も「廃炉(作業)では、これまでの定期検査のように大勢の人は来ないのではないか。敦賀3、4号機の増設に備えて店を改装した人もいる。高浜や大飯は再稼働に向けて順調に動いているが、敦賀は将来の展望が描けない」と不安を口にした。

        一方、関電がこの日、40年を超える運転を目指し、原子力規制委員会に安全審査を申請した高浜1、2号機がある高浜町の野瀬豊町長は「審査はハードルが高いと聞いている。最終的にクリアできるかは予断を持つことができない。今後の推移を見守りたい」との談話を発表。

        美浜1、2号機などの廃炉決定については「自治体の経済・財政に大きな衝撃を与える。国の的確な支援や廃炉計画での地元企業活用などを真剣に考えていただきたい」と求めた。

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