社会そのほか速
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——試合開始14分。右サイドからのクロスに合わせて頭を振りぬくとボールは見事にネットを揺らす。歓喜のダンスを踊って見せたのは、48歳1ヶ月と10日のカズ、三浦知良だった。
「カズダンスはやろうと思っていた。新バージョンじゃなかったって? 肩が痛い。五十肩なんだよ!」
笑顔で語ったカズは、自身が持つJリーグ最年長得点記録(46歳8ヶ月8日)を大幅に更新。所属する横浜FCが首位のジュビロ磐田をホームに迎えた、J2リーグ第6節(4月5日)での偉業だった。
この<奇跡>を絶賛したのは、サポーターやチームメートだけではない。
イタリアの『ラ・レプブリカ紙』が「元ジェノアのカズ・ミウラが日本で奇跡を起こした」と驚けば、「輝く笑顔でゴールパフォーマンス“the Kazu Dance”を披露(略)日本代表チームは彼を呼び戻すかもしれない」と、ハリルホジッチ監督の代表選考にも言及したのは、英紙『ガーディアン』だ。もちろん国内でも翌日の各局ワイドショーに取り上げられ、いつも話題不足に悩むJリーグとしても<カズさま様>。さすがキングと呼ばれる男の面目躍如だ。
偉業の裏の「現実」とは
しかし、である。このゴールはカズにとって約1年5ヶ月ぶりの得点。毎年ゴールを続けなければ存在意義を問われる他のFWに比べれば、ずいぶんと呑気なペースである。
「ひとえに“広告価値”が高いから。カズがいるからスポンサーが付くし、ゴールでも決めればチームの露出も急上昇する。しかしサッカー選手としての価値とは別だから、歴代監督も起用法に頭を悩ませてきた」(Jリーグ関係者)
実際、横浜FCの山口素弘前監督(注1)はFWの補強を希望したが叶わず、退任時には「チーム内で(ポジションを)戦っていかないと強くならない」と、カズを特別扱いするクラブとの間に確執があったことを匂わせた。2014年カズは出場わずか2試合、途中出場でプレーしたのは計4分。要するにメディアやスポンサー向けの「客寄せパンダ」というのが、ここ数年のカズの実状だったということだ。
筆者は、カズが大好きだ。1993年ドーハの韓国戦での魂のゴール、イタリア・セリエAで決めた日本人初ゴール、Jリーグ史を彩る数々の名ゴール。カズの名場面はすぐに、いくつも思い出せる。最近では東日本大震災チャリティマッチで見事なゴールを決めた時は、日本中が勇気づけられた。男として、人間として素晴らしいと思う。…