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先月17日に策定した「やまがた受動喫煙防止宣言」を受け、山形県は庁舎6階ベランダにある屋外喫煙所を今月末で廃止することを決めた。
県が受動喫煙防止のリーダーシップを取ることで、民間への波及効果を狙った措置だ。ただ、喫煙者の県職員からは戸惑いの声も上がっている。
県庁舎内は2005年10月に全面禁煙となり、6階ベランダに喫煙所が設けられた。喫煙所から、最も近い執務室のドアまでの距離は5・4メートル。職員から「たばこの臭いがする」との苦情が寄せられ、ドアを粘着テープで目張りする「応急処置」を取っていた。
日本禁煙学会が06年に出した「屋外における受動喫煙防止に関する見解と提言」では、「屋外の喫煙所であっても多数の人が利用する場所から10メートル以上離して設置すること」としていることもあり、県は受動喫煙対策として不十分だと判断した。
県総務厚生課は「臭いの漏れも指摘され、他の適当な場所もなく、廃止を決めた」と説明する。すでに労使双方でつくる衛生委員会で廃止が了承されているという。
ただ、喫煙者からは今後も不満の声が出ることが予想される。喫煙所は、庁舎内を全面禁煙にした際に、喫煙者らの要望を受けて「妥協策」として導入された経緯があるからだ。喫煙所が廃止されれば、庁舎を出て敷地内の屋外喫煙所まで行かなければならなくなる。16階建て庁舎で1階まで行き来するには時間がかかる。
受動喫煙の防止策を巡っては、吉村知事が条例制定に意欲を見せた12年以降、医療関係団体などが制定を後押しする一方、飲食店などでつくる団体や県たばこ販売協議会などは反対の声を上げてきた。こうした状況から、まずは「受動喫煙を防ぐため正しい知識を周知する」として、県は条例制定を見送り、宣言にとどめることにした。
ただ、宣言を制定する過程では、案の段階で禁煙実施率に含まれていた「完全分煙」が除外されたことから、当初97・3%だった官公庁施設の実施率は90・2%に低下。宣言で目標に掲げている17年度までの実施率100%達成に向け、県も本腰を入れざるを得ない状況となっている。
県総務厚生課は「喫煙が悪いというわけではない。たばこを吸わない人の健康を害することがないよう考えた時に廃止となった。県が先頭に立って取り組みを進めていきたい」と理解を求めている。
◆やまがた受動喫煙防止宣言=2017年度までに幼稚園や学校、医療機関の敷地内での禁煙実施率を100%に、官公庁など公共性の高い施設でも、建物内の禁煙実施率を100%にする中期目標を掲げている。さらに、飲食店や宿泊施設など不特定多数の人が利用する施設では、建物内禁煙や完全分煙などの実施率を14年度の2倍にすることを目標としている。