社会そのほか速
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経営再建中のシャープの高橋興三社長は5日、東京都内にある主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の本店を訪れ、資本支援を正式要請した。銀行側は「資本支援に応じるには、シャープの抜本的な構造改革(リストラ)が不可欠」との立場だが、高橋社長は、資本支援を要請する一方、リストラの候補に挙がっている太陽電池事業からの撤退や部品工場の閉鎖などは示さなかった。両者の隔たりは大きく、交渉は難航が予想される。
シャープはテレビなど一般消費者向けから液晶など基幹部品まで幅広く手掛ける電機大手として、事業規模をむやみに縮めたくないとの思いがある。しかし、主力行側は「聖域を設けない抜本改革が必要」としている。すでにシャープも方針を固めているテレビ事業の北米からの撤退のほか、営業赤字の太陽電池事業の大幅な縮小や撤退、発光ダイオード(LED)の三原工場(広島県三原市)やスマートフォン向けセンサー部品などの福山第1〜第3工場(同県福山市)の閉鎖なども必要とみている。
これらの改革を実行すれば、2015年3月期の連結最終(当期)赤字が現在想定している300億円から2000億円近くに膨らむのは不可避。シャープは、健全な企業であれば20%程度は必要とされる自己資本比率が、現在10%程度しかない。このため、債務(銀行からの借金)をシャープの株式に振り替える「債務の株式化」を1500億円規模で行う案が出ている。
シャープはテレビや太陽電池の改革の遅れ、液晶の価格急落で収益が悪化し、必達目標としていた15年度の営業黒字1500億円、最終黒字800億円を達成できなくなっており、再度の計画未達は許されない。銀行側は、シャープが5月に公表する新たな中期経営計画に、赤字につながりかねないすべての事業の構造改革を盛り込むべきだと考えており、「シャープにも相応の覚悟がないと資本支援には応じられない」(主力行幹部)と態度を硬化させている。シャープは事業の縮小につながる大胆な改革を避けたいのが本音だが、資本支援は必要なため、大きな決断を迫られている形だ。【宇都宮裕一、鈴木一也】