社会そのほか速
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認知症のお年寄りが電車にはねられた――。この事故に対して、第一審判決は、奥さんだけでなく、別居をしている長男にまで請求を認めた。こんな“トンデモ判決”が、なぜ出てくるのか。最高裁などを歴任した瀬木比呂志氏に話を聞いたところ……。
●裁判所には“イエスマン”ばかり
烏賀陽: 前回、裁判所の中には「上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキー」が存在しているという話を聞かせていただきました。最高裁の長官を頂点に、以下、最高裁の判事、高裁の長官……と続く。人事は上層部が握っていて、それ以外の人たちは「なぜ自分が左遷されたのか?」という理由すら分からない。なぜ分からないかというと、誰もその理由を言わないから。
最高裁などで働いていた瀬木さんは、左遷される理由のひとつに「判決の内容」を挙げられました。判決の内容は間違っていなくても、上層部の気に入らない判決を書いたという理由で人事に影響する。裁判所には“自分の意見を自由に言えない”といった空気がまん延しているので、組織が硬直してしまっているといった話もされました。
裁判所といえば「公平」「中立」のイメージが強いのですが、実態はかなり違うなあという印象を受けました。このほかにも、これをしたら左遷になるといった話がありそうですね。
瀬木: 2000年前後までは、本を書いたり、研究をしている裁判官に対しても「いいんじゃないか」という雰囲気がありました。しかし、今は違う。極端に言えば、研究をしている裁判官はそれだけで「けしからん」となってしまいました。
烏賀陽: 上意に逆らわなくても、自分の意見や興味対象を研究するだけで「けしからん」となるのですか?
瀬木: 周囲から「この人は出世するだろうなあ。高裁長官にはなれるはず」と思われていても、ただ研究をしているというだけで、高裁の裁判長で“塩漬け”にされる。
最高裁の判事は15人。内訳をみると、裁判官出身が6人、弁護士出身4人、検察官出身2人、行政官出身2人、法学者出身1人。研究をしているというだけで、裁判官出身6人の枠に入ることはできなくなります。
烏賀陽: 「国策に逆らうような判決を書いた」といった理由ならまだ理解できます。でもそうではなくて「本を書いているから」「研究をしているから」というのは、ちっとも反抗的な行動ではありませんよね。自分が興味を持っていることを研究しているだけで、人事に影響するなんて信じられない。…