社会そのほか速
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James Clear:1972年2月13日、ミッシェル・シフレ氏は、テキサス南西部にある洞窟の奥深くへと降りていきました。シフレ氏が再び太陽の光を浴びたのは、その6カ月後のことでした。
シフレ氏はフランス人科学者で、時間生物学のパイオニアでした。時間生物学とはバイオリズムを研究する学問です。バイオリズムの中で最もよく知られているものに概日リズムがあります。このリズムが人間の睡眠覚醒サイクルをコントロールしています。シフレ氏のミッションは、概日リズムの働きを確かめることでした。
洞窟におけるシフレ氏の生活はかなり過酷なものでした。木製の小さな土台の上にテントが張られ、中にベッド、テーブル、椅子のほか、地上の研究チームと連絡をとるための電話が置かれました。この地下住居には、電球がひとつと、大量の冷凍食品、3000リットルの水が準備されましたが、時計やカレンダーは持ち込まれず、現在時刻はおろか、今が昼なのか夜なのかさえわからない状況でした。シフレ氏はこの状態で、6カ月間、独りで過ごすことになったのです。
数日のうちに、シフレ氏の生物時計が主導権を握りはじめました。氏は後に、実験についてこう述懐しています。「私の睡眠は完璧だった! 体が自分でいつ眠るか、いつ食べるかを決めていたんだ。これはとても重要なことだ。この実験でわかったのは、私の睡眠覚醒サイクルは、地上のみんなと同じような24時間ではないということだ。もう少しだけ長く、24時間プラス30分といったところだった」実験中何度か、シフレ氏の体は48時間の睡眠サイクルに移行しました。それは、36時間覚醒し、12時間眠るというサイクルでした。
シフレ氏の研究は(ほかの研究者による少数の実験とともに)睡眠に科学的興味を惹きつけるきっかけとなりました。今では、ハーバードやペンシルベニアといった主要な大学に、睡眠パフォーマンス・センターが設立されるまでになりました。しかし、私たちが人生の3分の1を睡眠に費やしていることを考えれば、最近になるまで睡眠研究があまり行われてこなかったのが不思議なくらいです。
今回は、睡眠に関する科学とその仕組みを紹介するとともに、なぜ多くの人が気づかないうちに睡眠不足に陥っているかを議論します。また、良質の睡眠をとり、エネルギーをアップさせる実践的な方法も紹介します。
では、さっそく始めましょう。
睡眠不足:睡眠時間はどれくらい必要か?
実際のところ、睡眠時間はどれくらい必要なのでしょうか? この質問に答えるため、ペンシルベニア大学とワシントン大学が行った実験を見てみることにします。…