社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
昨年9月以降、ブラジル、トルコ、南アフリカ、メキシコといった新興国の通貨は対ドルで下落が続いています。米国景気の好調と利上げ開始期待を背景としたドル高が主因ですが、各国の政治・経済的要因も売り要因となっています。
ただ、年初来でみると大規模量的緩和を発表したユーロ、サプライズ利下げを行ったカナダドル、利下げ期待が高まる豪ドルなどの先進国通貨と比べ、新興国通貨の下落幅は小幅にとどまっています。米国の量的緩和終了や利上げ開始期待の高まりなどの局面で、今後起こり得る米国の利上げの際の資金流出リスクについて何度も「予行演習」を行ってきたことから、悪材料がかなり織り込まれてきた面が大きいようです。
また、ブラジルではルセフ大統領再選後、3度にわたる利上げを行い、今後も利上げ方針にあること、南アフリカではインフレ率の低下にもかかわらず中銀がタカ派姿勢を維持していること、などが相対的堅調の背景にあるようです。
とはいえ、これら新興国通貨は目先、とくに米ドルに対しては軟調が続きそうです。ブラジルは利上げ継続方針ですが政策金利はすでに12.25%に達しており、今後の利上げ幅およびペースは限定的でしょう。メキシコは産油国のため、原油安の悪影響が大きく原油価格が底入れするまでは本格的な反発はないでしょう。
低成長に苦しむ南アフリカは原油安の影響でインフレ率が低下してきたため、利下げの可能性が開かれてきました。6月に統一地方選を控えたトルコでも、政府から中銀に対するあからさまな利下げ要求が続いており、中銀はそれに屈するかたちで今後も利下げが継続される見込みです。利下げは景気にとってポジティブですが、通貨にとっては売り材料と見なされます。
では、何が新興国通貨の反発材料となるでしょうか。ひとつは、逆説的ですが、米利上げ開始後も米株価など金融市場に悪影響を与えないことが確認されれば、新興国通貨に買い戻しが入ってもおかしくありません。また、原油安が産油国の景気悪化やインフレ率の低下による金融緩和を通じて通貨安につながっていますが、原油価格が反発すれば新興国通貨の買い戻し材料となりえます。
対円相場では、日銀の追加緩和消極姿勢が新興国通貨上昇への重しとなっています。インフレ率が目標の2%から遠ざかっているにもかかわらず、日銀は追加緩和について焦らない姿勢を強調しているためです。このままでは2%目標の達成が困難なのは明白ですから早ければ4月、遅くとも7月あたりに追加緩和が決定されると見ています。そうなれば、新興国通貨の対円相場は昨年10月末のように押し上げられるでしょう。
個別要因としては6月にトルコで統一地方選があります。与党AKPの勝利で通過すれば、中銀への利下げ要求は後退しトルコリラ売りが一服するでしょう。こうしたことから今年の半ばあたりが、反転に向かう時期になりそうです。