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JAPAN is Beautiful !!! 高技術ばかりではなく、繊細で美しいスタイルにも注目したストール。そこに作り手のこだわりが見えてくる。
【大人の逸品ランキング 第15位】服飾雑貨部門 3位
軽く、暖かく、肌触りがよい。米沢の風土が昇華させた絹織り物の芸術
「絹織り物というのは奥が深く、なかなか筆の置きどころが見つからない。たとえばストール。肌触りのよさ、軽さと暖かさが魅力ですが、いかに美しく仕上げるかも職人の腕です」と語るのは、米沢織の名手、高橋明義さん。86歳になる今も、毎日織りやデザインの研究に心血を注ぐ。機能と美の粋を追求した高橋さんの作品は、名だたるブランドも一目を置く。
そんな高橋さんが極細のカベ糸で織り上げたストールは、羽根のように軽く、手のひらが透けて見えるほど薄い。それでいて、しなやかな張りがある――繊細な暖かさが感じられる名品だ。
カベ糸とは、撚りをかけて張った芯糸に異なる撚りの糸を絡みつけたもの。素材は太くコシのある野蚕糸と、細く均一な美しさのある家蚕糸だ。やわらかさの中に張りを保つ、皺になりにくい生地が織り上がる。そのため、わずか50gという軽さなのに、折り重ねて首に一巻きするだけで、服装に上品な量感を足すことができる。ほどよい通気性と絹ならではの吸・放湿性があり、暖房の利いた電車の中でも暑すぎることがない。
織りの電子化が進む中でも、高橋さんは方眼紙に描いた柄をパンチ穴に転写して織機を動かす昔ながらの技法を守る。一日に3~5本程度を仕上げるのがやっとだが、丁寧な手作業でしか味わえない風合いがある。自然色を基本としたシンプルな織りのデザインは、男女問わず使いやすい。
「絹は天然素材。コンピューターで考えたとおりの色はなかなか出ない。私はこのほうが性に合います」高橋さんはそういって、50年近く使い続けている愛機を撫でた。
生成りの絹糸を米沢市内の撚糸業者にストール用に加工してもらう。納得のいく糸ができるまでには2か月かかる。その糸を同じく息の合った市内の染め屋で染色(先染め)。
柄やデザインに合わせて縦糸を並べる整経作業。ドラムに巻き取った糸をアナログ式の織機にセットして織る。製造中止になって久しい古い織機だが、織り上がりに味わいがあるので、同業者が廃棄した機械から部品を集め、修理しながら大事に使っている。
撚りの強い絹のカベ糸は光が複雑に反射し、より落ちついた輝きをかもしだす。…