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長崎県小値賀(おぢか)町議会(定数10)は11日の本会議で、月額18万円の議員報酬を、50歳以下に限り30万円に引き上げる新条例案を全会一致で可決した。
同議会は「国が進める地方創生には若い世代の視点が必要」とし、4月の統一地方選で行われる町議選に若手の立候補を促したい考え。総務省や全国町村議会議長会などは「年齢で報酬額を分けるケースは聞いたことがない」としている。
同町は長崎県・五島列島北部の大小17の島で構成され、人口約2700人で高齢化率は全国平均を大きく上回る約46%。現行の条例では、議員の報酬月額は通常18万円で、議長は25万5000円などと定めている。町議10人の平均年齢は65・3歳で、全員が50歳を超えている。50歳以下の町議選立候補者は、2003年と07年は各2人いたが、11年の前回選はゼロだった。
一部の町議から、「まちづくりには働き盛りの人たちの視点が必要」との意見があり、議会の「地方創生まちづくり特別委員会」が11日、新条例案を議会に提出した。町は、条例の公布・施行手続きは通常、可決から10日以内に終了するとしている。定数を8に削減して行われる4月の町議選の当選者から適用される見通しだ。
地方自治法では、地方議会の議員報酬の額や支給方法は自治体が条例で定めると規定されており、総務省は、年齢で報酬を分けることは「法的に問題ない」と説明する。
町議会の立石隆教(りゅうきょう)議長は「まちづくりの中心は若い世代が担うべきで、議会も若返っていく必要がある。一人でも多く若い人に立候補してほしい」と話す。これに対し、全国町村議会議長会は「高齢化を阻もうという趣旨は理解できるが、選挙で選ばれた議員は平等という観点からは疑問も残る」と指摘する。
佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)は「若い世代を取り込むために様々な工夫をしようという姿勢は評価できる。ただ、ここまでしないと人材を確保できない地方の現状を象徴しているともみえる」としている。