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フランス南部の山中で、ドイツの格安航空会社(LCC)ジャーマンウイングスの旅客機(乗客144人、乗員6人)が墜落してから、31日で1週間。操縦室の音声を記録したボイスレコーダーの解析から、仏独捜査当局はアンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)が意図的に機体を墜落させた疑いがあるとみて捜査している。副操縦士は「精神的な病気」で通院していたとの指摘もあるが、病気と墜落との因果関係には依然として不明な点も多い。真相解明に向けたポイントをまとめてみた。【ベルリン篠田航一、パリ宮川裕章】
【副操縦士】「いつか皆が私を知る」交際女性に語る
◇意図的か?
捜査当局が「意図的な墜落」だったと疑う理由は、操縦室から出た機長の入室を副操縦士が拒み、1人で降下ボタンを押している点だ。降下ボタンは意図的にしか操作できず、副操縦士の呼吸が正常だったことから、病気や酸欠で意識を失った可能性は低いとみられる。
独ビルト紙(電子版)によると、墜落から8分ほど前の午前10時32分過ぎ、操縦室から閉め出された機長は「ドアを開けろ」と絶叫。背後では乗客が悲鳴を上げていた。同35分ごろには機長がドアを金属のようなものでたたく音が記録されていた。
仏検察当局によると、副操縦士は操縦室で1人になった最後の10分間、管制塔や他の航空機からの交信に一切応じず、機長の呼びかけにも沈黙を守ったままだった。こうした状況から「故意の墜落」が浮かび上がるが、捜査容疑は「過失致死」。「技術ミスの可能性」(仏検察)も含めて慎重な捜査が続く。
◇動機は?
「意図的な墜落」の動機解明を急ぐ検察当局は26日、独西部モンタバウアーにある副操縦士の実家やデュッセルドルフの自宅を家宅捜索。墜落当日の24日も加療期間内だった「病気診断書」を押収したが、病名など詳細な中身は公表していない。元恋人などの証言から「精神的な病気で通院していた」との指摘がある一方、網膜剥離など視覚に問題を抱えていたとの報道も。病気が発覚した場合、長距離フライトの機長になる夢が断たれることに絶望したとの見方を伝えている。
◇管理責任は?
ジャーマン社の親会社ルフトハンザは26日の会見で、副操縦士が健康診断や適性検査に合格していたことを根拠に、「異常な点はなく、100%操縦能力はあった」と述べた。だが、副操縦士が2010年に米アリゾナ州でルフトハンザが運営する航空学校で訓練を受けた際、一時的に「操縦不能者」のリストに分類されていたとの報道もある。08年以降は、約1年半にわたり精神関連の治療を受けていたとされる。
仮に航空会社側が副操縦士の治療歴を把握しながら、操縦を許可していた場合、安全対策に批判が高まる可能性もある。ジャーマン社は27日、副操縦士からこれまで病気の診断書は提出されていなかったことを明らかにし、「提出がなければ、雇用側は(病気を)認識するのは難しい」との見解を示している。
ただ、南ドイツ新聞(電子版)によると、パイロットには自身の診断記録を会社の医師に報告する義務がなかった上、会社の医師も顕著な健康上の問題について、会社や独航空当局に届け出る必要がなかった。
◇捜査の進展は?
墜落翌日の25日までにボイスレコーダーが発見されたため、副操縦士の言動については比較的早期に解明が進んだ。だが、航路や高度などを記録するフライトレコーダーは今のところ、未回収のまま。仏独捜査当局は発見に全力を挙げる一方、航空会社関係者らから事情聴取を進め、全容解明を目指している。
墜落機は時速700キロの猛スピードで山に衝突したため、遺体や機体の残骸の多くは地中数メートルの深さに埋まったままだ。現地消防隊は地震などの災害時に土の中を捜索する専門部隊を投入。仏検察当局によると、墜落現場の遺体からこれまでに78人分のDNAを採取した。警察は近くのセーヌレザルプに鑑定施設を設置し、約50人の法医学者や歯科医らがDNAや指紋、歯の治療痕などから遺体の人定作業を急いでいる。