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【北京・石原聖】5日に開幕した中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議で明らかにされた2015年の予算案では、前年実績比10.1%増の8868億9800万元(約16兆9000億円)を計上。経済成長率目標の引き下げを反映して国防費の伸び率自体はやや鈍化した。しかし、5年連続2桁増となり、軍事を中心に国家安全保障を重視する路線が堅持されることをうかがわせた。
李克強首相は5日に行った政府活動報告で、「海洋権益を断固として守る」と表明。海上の紛争を適切に処理する方針を示す一方で、「海洋強国の目標に向けてまい進する必要がある」と述べた。さらに、「軍事闘争への備えをしっかりと固め、国境・領海・領空防衛の安定を保たなければならない」と訴えた。
経済成長率目標が引き下げられる中でも国防費の増加が堅調だった理由としては、陸軍中心の中国軍が海洋権益確保に向けて海・空軍重視に方針転換したことが挙げられる。海・空軍の統合運用や戦略ミサイルの性能向上を通じ、東シナ海や南シナ海での軍事プレゼンスの確立を目指しているためだ。
海軍については、12年9月に就役した初の空母「遼寧」に続き、遼寧省大連市と上海市で1隻ずつ国産空母を建造する計画が本格化しているとされる。今年2月には江蘇省常州市の電力ケーブル会社が中国2隻目の空母の関連工事を受注したと伝えられた。
中国メディアは南シナ海で進む島しょの埋め立て工事について「海軍が陸地造成プロジェクトを計画した」と報道。「前哨基地である不沈空母を獲得することで、常態化されたパトロールに余裕を与える」と解説した。パトロールを担う海洋警察も、軍と一体となって「海洋強国」づくりを進めていることを浮き彫りにしている。
王宏・国家海洋局長は2月9日の全国海洋活動会議で尖閣諸島(中国名・釣魚島)と南シナ海のスカボロー礁(同・黄岩島)を挙げ、「島しょの主権を断固として守り、長期的な力比べの準備を整える」と強調している。
軍事専門家は「戦闘機やミサイル開発はもちろん、必要な海軍艦船や海警局巡視船の建造も急ピッチで、船の大型化や要員の確保が同時並行で進んでいる」と指摘する。また、「国防費は軍事経費の一部分で、サイバーや宇宙など軍事関連の研究を国防費だけでまかなっているわけではない」(中国人研究者)という。テロ対策やネット管理など、治安維持に関わる公共安全費も増加しており、国家安全保障に関わる予算が不透明なまま増大しているのが実情だ。