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忠臣蔵の主役、赤穂義士の墓がある泉岳寺中門脇に8階建てマンション建設計画
忠臣蔵といえば歌舞伎の三大名作と言われ、映画、テレビドラマ化も多数。最近ではハリウッド映画でも取り上げられている。その忠臣蔵の主役である赤穂義士たちの墓があり、国の指定史跡にもなっている泉岳寺(港区)が大揺れに揺れている。昨年夏、徳川家の三代将軍家光の時代に今の地に移って以来、約400年間、変わらぬ姿を守ってきた泉岳寺中門の脇に高さ約24m、8階建てマンション建設が予定されていることが分かったのである。
元々、その地にあったのは地元に住む人が建てた3階建て住宅。泉岳寺周辺の建物はほぼその高さで統一されているが、それは昔から住む人たちの間に景観を維持するための暗黙の了解があったため。ところが、相続絡みであろう、中門脇の土地が売られた先はそうした地元のコミュニティとは縁もゆかりもないマンションデベロッパーだった。彼らからすれば自分が買った土地である、周囲に何の遠慮がいるものかとばかりに、地元への説明もなく、解体その他の工事が始まったのである。
それに対して不信と不安を覚えた住民たちが立ち上がり、泉岳寺とともに事業者には建設の中止などを求める運動を始めた。以降、状況に関しては新聞、テレビなどでも報道されるようになっているから、ご存知という方も多いのではないかと思う。その泉岳寺で「赤穂浪士の泉岳寺から、風景・景観を考える」と題した泉岳寺特別市民講座が開かれた。その様子から泉岳寺の問題はもちろん、今後、景観を考える際の手がかりをご紹介したい。
日本の文化行政には「面」という考え方がない
最初の登壇者はアジアから初のユネスコ事務局長を務め、世界遺産委員会議長なども歴任した松浦晃一郎さん。日本で一番、世界の文化遺産、景観保護の状況をよく知る人である。その松浦さんが関わってきた世界の文化遺産は大きく分けると3種類。一般によく知られている世界遺産に加え、無形文化遺産、世界記録遺産である。このうち、世界遺産には自然遺産、文化遺産があり、日本でいえば屋久島や白神山地が前者、後者は富岡製糸場や姫路城などが挙げられる。無形文化遺産としては和食や文楽、歌舞伎などがあり、世界記録遺産では国宝『御堂関白記』などが登録されている。世界遺産から始まり、現在では幅広く有形、無形の文化を守る活動がなされているというわけだ。
ところが、日本の場合には最初からそれだけ広範な対象を保護するように法律が作られていたという。…