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カナダのマギル大学はこのほど、メープルシロップのエキス(濃縮抽出物)は細菌に対する抗生物質の効力を高める効果があることを明らかにした。
1966年に設立された約7,400のメープル製品生産企業を代表する団体「ケベック・メープル製品生産者協会」によると、マギル大学化学工学部のNathalie Tufenkji教授は、主にフェノール化合物からなるメープルシロップの濃縮抽出物を使用して実験を行った。北米のカエデの樹木から採取する樹液を煮詰めて作るメープルシロップは、フェノール化合物を豊富に含んでいる。
同大学の研究者たちは、大腸菌やミラビリス変形菌(尿路感染症の一般的な原因菌)など、感染症を引き起こす特定の細菌株に対するメープルシロップエキスの効果を実験した。
同濃縮エキスは単体でもある程度、細菌と戦う力を持っているが、今回の実験では、特に抗生物質と組み合わせて使うとより高い効果を示すことがわかった。この実験により、メープルシロップエキスと一般的な抗生物質を組み合わせると、抗生物質の使用量を低減できる可能性があることがわかった。
Tufenkji教授は、「これから生体内実験を行い、最終的に臨床試験をやってみないと人間にどういう効果があるかは言えません」と前置きした上で、抗生物質の使用量を減らす効果的なアプローチが示されていることを語った。
同実験では、メープルシロップエキスが細菌の遺伝子発現に影響を及ぼすこともわかった。細菌の遺伝子には抗生物質に対する耐性や病原性の強さと関連するものがいくつかあるが、それらを抑制する働きがあるという。同協会は「抗生物質の過剰使用は、薬剤耐性菌の出現を促進するため、この可能性は朗報と言える」とコメントしている。