阪神・藤浪晋太郎投手（２０）が１５日、横浜ＤｅＮＡとのオープン戦（横浜）で６回２失点と力投したが、飛車角落ち打線相手に思わぬ“肩すかし”を食らった。

　「三振、三振というよりは、少ない球数で打ち取っていこうと思って投げた」

　１０日の欧州代表戦（東京ドーム）での登板以来、中４日での先発。「疲れはゼロじゃない」。シーズンでは経験がない変則調整となったが、ランニングメニューをかえ、ブルペンでの球数を減らすなどして対応。これが奏功したか、予定の６イニングを自身の想定より２０球ほど少ない８０球で切り抜けた。

　ＤｅＮＡ打線には「シングルヒットを打たれすぎた」と７安打されたが無四球。「どのぐらいの力加減で投げれば、どのぐらい打たれるのかを試したかった。自分の目的は達成できた」と納得顔。「スライダーが引っかかり」過ぎて何度も首を振る場面もあったが、修整点も「スライダーの制球と変化球のコンビネーション」と見いだすなど全般的には及第点だ。

　和田監督は「侍で投げてから、中４日での登板にしてはうまく投げた。このまま、ビシッといって開幕を迎えてほしいね」と３年目の右腕に期待を寄せる。

　とはいえ、藤浪にはすっきりしないことがあった。相手打線の主軸、梶谷と筒香が「下半身の不安」を理由に、そろって欠場したことだ。

　昨季の右打者との対戦では打率・１９３とほぼ完璧に抑えたが、左打者には同・３０３と分が悪い。特に梶谷には打率・４００（５打数２安打）、筒香にも打率・３７５（８打数３安打）と打ち込まれていた。

　この苦手な左打者への対抗策が“脱力投法”。１月の自主トレから取り組みマスターしつつあったが、この日の対戦はその確認の意味があった。だが、肝心の天敵がそろって不在では、試しようがない。

　「脱力投法を試すには最適な相手。自分の投球がどこまで通用するか、勝敗を気にせずやれるオープン戦の時期に抑えて『藤浪は変わった』という印象を与えたかったようです」（球団ＯＢ）

　飛車角落ちの打線では役不足、というのが本音のようだ。　（山戸英州）2015/3/17 16:56 更新