社会そのほか速
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父娘が派手な骨肉のバトルを演じ、テレビのワイドショーが飛び付くなど世間の耳目を集める大塚家具が、3月27日に運命の日を迎える。果たして株主総会でどちらが勝利するか。敗れた場合は会社から永久追放されるだけに、その結果次第では「もはや修復不可能となった」(関係者)父娘はもちろん、創業一族の決裂が決定的になる。
総会を前に水面下では創業家を二分した委任状の争奪戦がヒートアップしている。同社は創業者の大塚勝久会長(71)が発行済み株式の18.04%を保有する筆頭株主。妻の千代子さんが保有する1.91%の保有株と合わせると20%弱の株式を押さえた計算になる。
これに対し、長女の大塚久美子社長(47)は一族の資産管理会社『ききょう企画』を押さえ、この会社が9.75%の株式を保有している他、今年1月初めの時点で10.29%まで保有比率を高めた米投資会社、ブランデス・インベストメント・パートナーズを自陣に取り込んだとされる。
このように、現時点で双方の“基礎票”は拮抗する。まだ日本生命(6.35%)や東京海上日動火災(3.22%)などの機関投資家は態度を明らかにしていないため、他の株主を含め双方が自陣への取り込みを狙って目の色を変えている。関係者が苦笑する。
「会長派は3月3日、記者会見を開いて久美子社長が『ききょう企画』を利用して大塚家具の支配権を握ろうとしていると強調した。去年の1月に千代子さんと長男の勝之さんがこの会社の役員を解かれ、久美子さんに近いファミリーで役員を固めた。これが不満の勝久会長は既に久美子社長を提訴している。資産管理会社が委任状争奪戦で勝敗のカギを握ることから勝久会長が『ききょう企画は娘に乗っ取られた』とアピールしたかったのです」
ちなみに大塚一族は会長派が妻の千代子さんと長男の勝之取締役。一方、久美子派が二男の雅之執行役員、二女の大塚舞子さん、三女の佐野智子さん及び夫の佐野春生取締役という図式だ。まさに骨肉の争いである。
背景には何があるのか。テレビでは面白おかしく解説しているが、基本的には昔ながらの営業スタイルを貫きたい会長と、脱ワンマンにより時流に沿った経営を進めたい社長との戦略の違いが大きい。しかし泥仕合化した今、どう決着しようと同社の将来に大きな禍根を残すのは間違いない。
「会長は2月25日、その世界の親分を気取ったのか、後ろに幹部をズラリと勢ぞろいさせ、存在感を見せつけた会見で『久美子を社長にしたのは失敗だった』と言い放った。引っ張り出された幹部は、いい面の皮です。これで会長が提出した取締役候補の株主提案が否決され、会社側=久美子社長の提案が通ったら彼らの居場所がなくなる。その意味では罪作りな“そろい踏み”です」(経済記者)
同じことが久美子社長にも言える。投資家の支持を集めるべく、久美子社長は40円だった年間配当を80円に引き上げた。これを好感して株価は一時ストップ高となったが、増配の恩恵を受けるのは昨年12月期の株主ではなく、今年12月期の株主である。昨年12月期に4期ぶりで営業赤字(4億200万円)に塗れた同社の経営は、ただでさえ不透明感を増している。それにもかかわらず、分不相応な増配をぶち上げたのだ。会社の後先を全く考えない、機関投資家などへの迎合策でしかない。
この骨肉の争いほど世間の注目を集めてはいないが、雪国まいたけを舞台にした創業家外しの“奇策”もまた、歴史に残る大事件に発展しそうだ。現経営陣とメーンバンクが米投資ファンドと密かにタッグを組み、一気に創業家の排除に乗り出したのだ。要は外人部隊が仕掛けた創業家外しのクーデターである。
同社は創業者の大平喜信元社長ら一族が株式の64%を保有している。これだけの保有比率があれば、まず経営権は揺るがない。それがなぜ排除のドンデン返しに発展したのか。
「ワンマン経営で知られた大平社長は不正経理で2年前に失脚したが、大株主として経営に関与し、後任の社長を解任する荒業を駆使するなど経営陣や銀行には目障りな存在だった。そこで融資の返済が遅れたことを理由に銀行が担保権を行使し、株の名義を創業家から銀行に切り替える奇策を取った。一方で現経営陣は米投資ファンドと内密に話を進め、2月24日~4月6日までの間にTOB(株式公開買付)を実施することが慌ただしく決まったのです」(兜町証券マン)
インサイダーの疑義が垣間見えるものの、創業家は完全に虚を突かれた格好だ。株価は既にTOB価格(245円)を上回り、市場は「引き上げ催促」を示している。
大塚家具の父娘には、さぞ“うらやましい策”に映っていることだろう。