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田代まさしが“覚せい剤の快感”を語る「薬物依存は病気。一人ではクスリの前では無力なんだよ」

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田代まさしが“覚せい剤の快感”を語る「薬物依存は病気。一人ではクスリの前では無力なんだよ」

田代まさしが“覚せい剤の快感”を語る「薬物依存は病気。一人ではクスリの前では無力なんだよ」

 

 覚せい剤取締法違反で3年6か月の実刑判決を受けていたタレントの田代まさしが、昨年7月に東京の府中刑務所から出所したことをブログで報告。薬物依存からの回復を支援する民間施設「ダルク(DARC)」に入ったことを明かし注目を集めている。

 警察庁が公表している「平成26年の薬物・銃器情勢」によれば、覚せい剤の再犯率は6割近い。50歳以上に限ってみれば、80.2%とあることからも、覚せい剤を断ち切るのは容易ではないことがわかる。今度こそ本当に薬物依存を断ち切ることは出来るのか? 本人を直撃した。

――ダルクに入ったことで、田代さんのなかで心境の変化はありましたか?

田代:最初に捕まって刑務所から出てきたときは、クスリのことを忘れて早く「芸能界の華やかな場所に戻りたい」と思ってたの。でも、それが回復によくなかった。芸能界に戻ることが、ファンの人や迷惑をかけた人たちへの恩返しなんだとずっと思ってたけど、本当は人のためじゃなくて、自分のためにやめなきゃいけなかったんだよ。

過去に起こしてしまった事件はもう変えられないじゃない? でも、それを認めて、薬物で苦しんでいる人や手を出しそうになっている人の手助けになることが、回復に繋がるんだとダルクにいて、やっとわかってきた。

――これまでは、本当の意味で薬物と向き合ってこれなかったと?

田代:ダルクの近藤代表の本に「薬物をやめられないのは、薬物依存という病気だから。一人では、クスリに対して無力である。一番回復に必要なのは、同じ悩みを持っている仲間とともに歩むことなんだ」って書かれてるのを読んだときに、肩の力が抜けたの。「強い意志がなかったとか、心が弱かったんじゃなくて病気だったんだ」って思えて、気持ちが楽になった。

薬物依存が病気だってことをまだわかってもらえていないから、社会に出るのは怖いかな。そういうことが少しでも理解される世の中になってほしいよね。

――薬物依存も鬱も回復はすべて自己責任で「その人に強い意志さえあれば立ち直ることができるはずだ」と考える人が実際には多いですよね。

田代:みんなそう思うでしょ? でも、薬物依存は病気で、だから俺、何回も捕まったんだってことをやっと理解できた。自分の力じゃクスリの前では無力なんだよ。だからこんなに再犯率が高いし、クスリを止められない人が多いわけで。

だって、強い意志だけでやめられるんだったら、みんなやめてるわけだから。クスリの快感は、それはもうハンパじゃない。覚せい剤を打った瞬間にものすごい量のドーパミンが出て、これ以上ない幸せが一瞬にして全身にめぐっちゃう。

――それは、芸能界の華やかなステージに立っている瞬間よりも?

田代:それを捨ててまで、俺はクスリにいっちゃったわけだから。それでもまだやめられないのがクスリの恐ろしさだよ。何不自由なくいい生活をして、幸せな家庭があって……だって俺、けっこういいとこいたんだよ? それでもクスリを使っちゃうんだからぁ。

芸能界でぽっと出て、1回売れるのはけっこう簡単なんだよ。一発屋とかいっぱいいるじゃん? でも、ずっと人気を維持して活動を続けるのってすごい難しいのよ。今まで何十年もやってきて、毎日おもしろいこと言わなきゃいけないってことになってきて、それでだんだん疲れてきたの。そんなときに、とあるテレビ番組のスタッフから「元気になるのありますよ」って言われちゃって。

――甘い言葉に負けてしまったと。今でもそういうことはあるんでしょうか?

田代:あるんじゃない? 芸能界のなかで捕まってる人もけっこういるわけだし、それも氷山の一角なんだから。

――最近だと「危険ドラッグ」が話題になっていますね。

田代:ダルクのスタッフが危険ドラッグを作ってる人の取材に行ったの。それを作ってるやつらが「こんなのやるやつの気が知れない」って言うくらい身体にはヤバいものなんだよ。近藤代表が「覚せい剤をやったほうがマシですよ」って言うくらいの毒だし、1回で身体も心も壊れちゃうんだから。

刑務所は罪を反省させる場所でもないし、薬物依存を回復させてくれる場所でもないことを実感したよ。罪を犯したら刑務所に入れて「はい、終わり」っていう今のシステムはどうなんだろうって思ったね。

⇒【後編】『マーシーが当時の2ちゃんねる騒動を振り返る「ギャグのために人生を棒に振ったわけじゃない」』に続く http://nikkan-spa.jp/813477

※3月23日には田代まさし初のコミックエッセイ『マーシーの薬物リハビリ日記』(泰文堂)が発売される

<取材・文/北村篤裕>

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