社会そのほか速
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2016年1月から「マイナンバー」が始まる。「いつそんなことが決まったのか」と、面白くないと思う人がいるかもしれないが、もう始まること自体は決まってしまった。せめて自分がどう振る舞うべきなのか、何に気をつけるべきなのかは、しっかりと把握しておこう。
●マイナンバーとは?
マイナンバーは1人に1つ割り振られて、基本的に生涯変更されない。結婚しても、転職しても、引っ越しても変わらない。変わるのは番号情報の漏洩があった時だけだから、特に事故がなければ一生使う番号になる。
「国民に番号が割り振られる」と耳にすることがあるが、正確には「日本に住民票のある人」である。従って、日本人でも制度開始時に海外に住んでいる人は、帰国して住民登録しなければ番号は発行されず、逆に外国籍でも長期滞在者や特別永住者など日本に住民票がある人には発行される。
そして番号は完全にランダムだ。「北海道は1で始まる」といった地域による区分はなく、同一世帯の家族でも隣接する番号にはならない。つまり、近しい人物であっても、マイナンバーの番号を類推することはできず、逆に番号から出身地や居住地、生まれた年代などを推し測ることもできない。
●顔写真のあるカードとないカード
マイナンバーは今年10月から、住民票のある住所に送付される書類で確認できる。この時送付されるのは「通知カード」と呼ばれる少々丈夫な紙カードだ。通知カードには、氏名、生年月日、住所といった個人情報と一緒にマイナンバーが記載されている。しかし、顔写真などはなく文字情報だけだ。
これとは別に「個人番号カード」というものもある。こちらは顔写真付きでICチップも搭載される。自動的に送付されてくるものではなく、市町村役場で申請することで取得できる。「そのうち写真付きのが発行されるから、紙のカードはいらない」などと勘違いして捨ててしまわず、大切に保管しなければならない。
通知カードを紛失すると大変なので、今年10月には郵便物を毎日確認し、カードが届いたならば、十分に注意を払って管理しなければならない。
機会があれば「個人番号カード」を取得してもよいだろう。ただし、こちらは顔写真の有効性などのため、10年が有効期限となっている。●マイナンバーを知らせる相手と、知らせてはいけない相手
16年1月からスタートするのは、税と社会保障に関する申請書類への番号記載だ。従って、各役所でこれらの手続きをする際には、新たに記載事項が増えることになる。個人事業主や自営業者は、企業との取引時に必要になる場合がある。
会社勤めをしている人は、税の申告などに用いるために、会社側から番号の提示を求められるだろう。ちなみに会社側は、何に使うかを明示した上で、社員から番号を収集する義務がある。例えば、「番号が必要になるらしいから教えて」などと曖昧に迫られた場合には教えてはいけない。明確に「所得税申告のために収集します」と言われた場合には、その目的のために番号を提出すべきだが、会社はそれを社会保障の申請などに転用してはならないことになっている。また、証券会社や銀行の金融機関は、お客に代わって税の申告をするために番号を尋ねることはできるが、それを顧客リストづくりに使用してはならないとされている。
また写真付きの「個人番号カード」は、身分証明書として活用することが許されている。民間のレンタルショップや各種会員証をつくる時の証明書として利用することは可能だが、この時見せてよいのは顔写真や住所の記載された表側だけだ。マイナンバー自体はカードの裏に記載されており、この裏側のコピーを取ったり、番号を控えたりすることは禁じられている。
運転免許証を身分証明書として出すと裏表のコピーを取られるようなことがあるが、「個人番号カード」ではそれが許されないわけだ。
おそらく制度開始時には、悪気なく違反するケースが出てくるだろう。個人の側でも正当な要求と違法行為を理解し、不当な要求に対しては毅然と断れるように準備しておきたい。
●番号利用に伴う「本人確認」は、どのように行う?
また、企業は従業員の番号を収集するに当たって「本人確認」が必要とされている。これは「人」と「その身元」と「番号」をしっかりと紐づけるための確認だ。
一番簡単で確実なのは、運転免許証と通知カードを持った本人に直接顔を合わせて番号を控えることだ。本人の顔と運転免許証の顔写真を照合し、運転免許証の住所等と通知カードの住所等を照合することで、本人と番号がつながる。 免許証がない場合にはパスポートや住民票など、代替で使える書類が指定されている。遠隔地に赴任している場合には、先に個人番号カードを取得させて、ICチップを読み取ることで照合する方法もある。ともかく、人と番号と個人情報がしっかりと結びつけばよい。
そしてこの確認は、個人で行わなければならないこともある。会社勤めしている人は被保険者や被扶養者の本人確認を自分で行い、その番号を自分のものとセットにして会社に提供する必要があるからだ。現実的には同居している妻や子の本人確認をあらためてする必要などないだろうが、一応本人と番号の紐づけは責任を持って扶養者が行うことになる。
●業務でマイナンバーに関わる場合
企業は、従業員の番号を取得し、管理することが義務づけられる。これは企業規模の大小にかかわらず、アルバイトやパートといった非正規従業員に対しても、本人確認を行って番号を取得しなければならない。ほかにも、退職した人の分は番号を破棄しなければならないなど、「手間がかかるシステム」として課題になっている。
しかし課題があるのは企業だけではない。税や社会保障の手続きで使うため、ITシステム管理者だけでなく、関連書類を扱う業務担当者も番号を目にすることはあるだろう。その際、番号の扱いには細心の注意を払わなくてはならない。
番号の目的外利用や不正利用、漏洩に関して、非常に厳しい罰則がある。例えば「正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルの提供」を行った場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられるのだが、併科されることもある。
企業はセキュリティシステムを整え、従業員に対しても教育を行わなければならない。しかし、中には考えが甘く、十分な準備を行わない企業もあるだろう。システムのセキュリティレベルを引き上げる取り組みを一社員が行うのは困難だが、少なくとも自分が扱う情報について、どのような行為が禁止されているのか勉強しておくべきだろう。
マイナンバー関連の情報サイトで一番わかりやすくまとまっているのは、内閣官房が公開しているサイトだろう。残念ながら、「このサイトに目を通せば、すべてわかる」というほど全体にわたった詳細解説はされていないが、基本的なことはわかるだろう。自衛のためにもFAQを読むくらいはしておくことをお勧めしたい。
(文=編集部)