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3月19日(米国時間)、米連邦航空局(FAA)は、アマゾンの無人ヘリコプター「ドローン」に対し、実験的耐空証明書(Experimental Air worthiness Certificate)を発行した。これにより、アマゾンはドローンのテスト飛行が可能となり、ドローンの実用化、すなわち、ドローンによる商品配送サービス「アマゾン・プライム・エアサービス」の実現に向けて一歩を踏み出したことになる。
従来、ドローンはFAAの監督下にあり、商業目的での飛行が認められていなかった。アマゾンは高度500フィート(約152メートル)での飛行許可をFAAに求めてきたが、これまでに規制免除として飛行許可が認められたのは、映画撮影や航空測量、建設現場の監視などごく一部の用途に限られており、商品配送を目的とした飛行は認められていなかった。規制が免除されなかったのは、FAAが打ち出した規制原案の中の「操縦者から視認できる範囲」の利用制限に抵触するからである。つまり、アマゾンが計画するフルフィルメントセンター(配送センター)から半径10マイル(約16km)の配送範囲は視認できないというわけである。
今回のFAAの声明は、これを一部解除する動きとして捉えられる。実験的耐空証明書の発行条件として、高度400フィート以下での有視界飛行、また操縦者に対しては、自家用操縦士資格と、医師による最新の診断書所持が義務付けられているが、アマゾンは、ドローンの飛行試験をワシントン州の田園地帯にある私有地で実施でき、商品配送実用化に向けた操作訓練や研究開発に役立てることが可能となる。
●ロボットによる物流の自動化
ドローンの本来の目的は、物流イノベーションにある。アマゾンのビジネス基盤はロジスティクス(物流)にあり、事業の生命線ともいえる。それゆえ、アマゾンはロジスティクスの改革を戦略的に進めてきた。現在では、効率性の追求を「人的資源を使った物流」から「ロボットによる物流の自動化」へと移行し、その次元を高めつつある。ドローンによる空輸システムの実現は、まさに「ロボットによる物流の自動化」への光明ともいえる。
ドローン開発によるもう一つの光明は、FAAへの飛行許可申請でも見られるように、ドローンを利用する用途として新たな動きが活発化していることである。ニュース報道や映画撮影、エネルギー資源の検査、災害時の現状確認など、さまざまな用途でドローンは利用され始めている。こうした汎用的な利用は、ドローンの可能性をさらに高めるものである。ドローンは物流という枠を超えて、「空のビジネス革命」ともいうべき新境地を拓く可能性を十分に秘めている。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)