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球界を盛り上げる新潮流 どん底から這い上がってきた「元投手」

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球界を盛り上げる新潮流 どん底から這い上がってきた「元投手」

球界を盛り上げる新潮流 どん底から這い上がってきた「元投手」

侍ジャパンvs欧州選抜では良くも悪くも攻守ともに目立ってしまった雄平(ヤクルト)。彼を筆頭に、今季のプロ野球ではある特徴をもった外野手たちの存在が目を引きそうだ。その特徴とは「元投手」であることだ。

【写真】1995年の復刻版ユニホームを着て、ポーズをとるオリックスの中島(左)と糸井

◎雄平(ヤクルト)

 当時の高校生No.1左腕と称され、2002年ドラフト1巡目でヤクルトに指名された高井雄平。1年目から5勝を挙げて順風なプロ生活をスタートさせたものの、その後は制球難で伸び悩んだ。

 結局、1年目の5勝を上回る勝ち星は挙げられず、2010年シーズンから野手に転向。「とにかく(バットを)振りまくりました」と本人が振り返るように、死にものぐるいで練習に明け暮れ、2013年には開幕レギュラーの座を掴むまでに成長を遂げた。

 その後も右膝前十字靱帯を断裂するなど浮き沈みの激しい野球人生を歩んできた雄平。昨季ようやく野手転向後はじめてフルシーズンを戦い抜き、打率.316、23本塁打の好成績を残してベストナインを受賞。日本代表メンバーにも選出された。

 昨季の好成績がフロックではないことを証明するためにも、今季は昨年以上の活躍が求められている。

◎糸井嘉男(オリックス)

 昨季、パ・リーグの首位打者に輝き、文字通り日本一の打者にまでのぼりつめた糸井嘉男もプロ入り時は投手登録。しかも、近畿大4年時に最優秀投手、最優秀選手、ベストナインの3冠を獲得するほど将来有望な投手だった。

 ところが、プロ入り後は思うように結果を残せず、1軍登板機会がないまま2006年シーズンから野手に転向。すると3年後の2009年には早くも外野手のベストナインとゴールングラブ賞を獲得するまでに一気に開花した。

 超人的な身体能力と宇宙人的な言動ばかりが注目を集める糸井。野手転向も平然とやってのけたように思われがちだが実際には違う。野手転向直後のことを振り返ったインタビューでは「死のうかな、と思ったぐらいです。最初は何をやってもうまくいかなくて」と語るほど悩み抜いた過程があったことも明かしている。

 それが今や、ゴールデングラブ賞を6年連続で受賞する、球界屈指の外野手に成長を遂げた。オリックスのキャプテンにも就任した今季は、チームリーダーとしての責任感も求められるはずだ。

◎木村文紀(西武)

 2006年の高校生ドラフト1巡目で西武に入団。当初は背番号41を与えられ、同じ番号だった元西武のエース・渡辺久信2世として期待された。

 しかし、右ヒジの疲労骨折や交通事故によるむち打ち、腰痛など度重なる怪我に見舞われ、プロ6年間でわずか1勝と伸び悩んだ。その一方で、プロ入り時から高校通算33本塁打を放った打撃力への評価も高く、心機一転、2013年から野手に転向。毎日1700スイングを課し、手の皮が擦り剥けて入浴が困難になるほどバットを振り込んだ。

 転機となったのは、二刀流で活躍する大谷翔平(日本ハム)との勝負だった。ルーキーイヤーの大谷からファームの試合で2本の場外本塁打を放ち、野手に専念した男の意地を見せつけた。

 昨季はシーズン100試合に出場し、本塁打も2ケタとなる10本を記録。高校時代から定評のあったパンチ力に磨きをかけ、いよいよレギュラー獲得を目指すシーズンが始まる。

 この他にも、高校時代まで投手だった中田翔(日本ハム)、そして今季から外野手にコンバートした松井稼頭央(楽天)などは、プロ入り時に野手に専念することを決めた元投手たちだ。彼らに共通するのが打撃力もさることながら、球速とコントロールをかね揃えた三塁、本塁へのレーザービームで球場を沸かせることだ。攻守ともに躍動する姿を見せてほしい。

 また、外野手ではないが、今季から内野手に転向した楽天の片山博視も、期待を集める投手からの転向組だ。大谷翔平の二刀流が話題になるからこそ、あえて打者一本に専念した男たちの意地にも注目していきたい。(『週刊野球太郎』編集部)

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