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◇パ・リーグ ソフトバンク7―3西武(2015年4月3日 西武プリンス)
まさに熱男(アツオ)だ!ソフトバンクは3日、西武と初対戦し、相手の開幕からの連勝を5で止めた。工藤公康新監督(51)は1点を追う8回、李大浩(イデホ)内野手(32)のセンターゴロとなった判定をめぐり、審判に猛抗議。指揮官としての初抗議の後に、2死満塁から高谷裕亮捕手(33)が走者一掃の右中間二塁打を放ち、逆転勝ちした。怒って笑い、いずれも今季初の連勝、貯金だ。現役時代に在籍した古巣の快進撃を食い止め、日本一連覇に向かう。
【写真】8回、李大浩の打球の判定に抗議する工藤監督
殊勲の高谷がベンチに戻ってくると、工藤監督は跳び上がるように抱きついた。あふれんばかりの笑みを見せた。2―3の8回。2死満塁から高谷が走者一掃の右中間二塁打を放ち、逆転した。指揮官は両手で会心のガッツポーズ。さらに、利き腕の左腕で拳を突き上げた。その時、グラウンドに向かって吠えた。
「相手にダメージを与えるいい勝ち方」。そう喜んだが、報道陣に「叫んでいたが」と問われると「そうなんですよ」と少しバツが悪そうだった。その瞬間はテレビに映し出され、ネット上では「ざまあみろ!」と叫んだと話題を集めた。笑う前には怒っていたのだ。
この回1死一塁。李大浩の中堅へのライナーを秋山がスライディングキャッチを試みた。三塁塁審は捕球、一塁塁審は逆の判定をした。最終的に捕球していないとの判定でボールが二塁に転送されたことで、一塁に戻った一塁走者の内川はアウトに。2死一塁から試合を再開すると、工藤監督は初めてグラウンドに飛び出し、審判団に詰め寄った。
2分半の猛抗議。工藤監督によると、審判団は誤りを認めたそうで、「2人の審判が(違う)ジャッジをしたら選手は困ってしまう。“打球の判断を誰がするか明確にしてほしい”とお願いした」と強い口調で言った。審判のあいまいな判定を厳しく追及したわけだ。古巣相手に指揮官として初抗議。それも、現役時代に慣れ親しんだ西武プリンスドームだった。
チームのスローガン「熱男」を体現。指揮官の姿勢を見て、ナインも黙ってはいなかった。2死満塁と好機を広げ、途中からマスクをかぶった高谷が値千金の一打を放った。昨季は安打が1本もなく、今季2打席目の伏兵が「必死に食らいついていった」と気持ちを込めて打った。3月下旬にインフルエンザにかかり、31日に1軍に登録されたばかり。「悔しい思いをしたけど、いい形で結果が出た。何とか貢献できた」と胸を張った。
古巣の開幕からの連勝を5で止め、今季初の連勝、貯金となった。「終盤にああやって(相手の)勝利の方程式の投手を打つのは、1、2点リードじゃ勝てないというイメージを植え付けられる」と工藤監督。西武での現役時代に同僚だった田辺監督との「新指揮官対決」にも勝った。3月6日。ソフトバンク本社の激励会で「ホークスしかできない2連覇を成し遂げるように頑張る」と決意表明した。昨季の日本一軍団が「熱男監督」に引っ張られ、上昇機運に乗ってきた。
▼ソフトバンク・内川(8回の微妙な判定で一塁走者。打撃は2安打2打点も3試合連続で併殺打)自分で(捕球したと)判断した。
▼西武・秋山 (8回李大浩の打球を)ダイレクトで捕ってました。2死一塁で走者1人は残るので、(判定には)まあいいかと…。
<現役時代の工藤VS古巣>
▽95年ダイエー(VS西武) FA移籍で4月1日に開幕投手としていきなり対戦。初回に7点の援護をもらいながら、3回2/3を8失点と逆転され降板。打線が再逆転して敗戦は免れた。
▽00年巨人(VSダイエー) 2度目のFA移籍。日本シリーズ第1戦で対決。愛弟子の城島に一発を浴び7回3失点で降板も勝敗つかず。チームはその後敗れた。
▽07年横浜(VS巨人) FAの人的補償で移籍し、初登板が4月1日巨人戦。投手の高橋尚に2点二塁打を浴びるなど、3回1/3を7失点で黒星。