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大阪商議所が「女活のススメ」を発行 ── 女性の活躍推進成功企業の事例集

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大阪商議所が「女活のススメ」を発行 ── 女性の活躍推進成功企業の事例集

 大阪商議所が「女活のススメ」を発行 ── 女性の活躍推進成功企業の事例集

 

 [写真]「女性の能力を活用した新たな市場創造について考える」フォーラムで、「女活のススメ」の要旨が報告された=大阪市天王寺区上汐5のクレオ大阪中央

  女性の戦力化を推進する企業の成功事例をまとめた小冊子「女活のススメ」を、大阪商工会議所がこのほど刊行し、女性支援セミナーで配布してお披露目された。中堅中小企業の成功事例が多くリポートされ、小さな会社も参考にしやすい。いまだ職場で実力を発揮しきれていない女性たちは、視点を変えれば、魅力あふれる可能性の宝庫。女性の活躍推進、略して「女活」の時代へ。

安心の「保活コンシェルジュサービス」

 [写真]「制度も社風もよくわかる! 女活のススメ~女性活躍推進に取り組む大阪の企業事例集」(大阪商工会議所発行)

  小冊子の正式名称は「制度も社風もよくわかる! 女活のススメ~女性活躍推進に取り組む大阪の企業事例集~」。大阪商工会議所が発行し、同会議所人材育成委員会の女性支援事業の一環として設立された「企業における女性の活躍推進研究会」(座長:佐藤友美子・追手門学院成熟社会研究所長)の研究成果がまとめられた。
  A4版、41ページ構成で、19社の成功事例をリポート。研究会の事務局を務めた同会議所人材開発部研修担当の松井伊代子次長、高田周平さん、吉田奈津美さんの3名が、本来の研修業務と並行して、取材、撮影、執筆をこなしながら刊行にこぎつけた労作だ。
 
  女活のポイントを、働く女性を増やす「採用」「両立支援」と、働く女性を伸ばす「育成」「登用」の4つに分類。色違いの花びらマークで各事例の特色を鮮明に打ち出した上、誌面に女活冊子らしい華やぎを添えている。紹介企業の企業規模も大企業が9社、中小企業が10社と、バランス良く配置されている。
 
  ダイキン工業(大阪市北区)は、育児休暇復帰者の活躍に向けた支援で異彩を放つ。「保活コンシェルジュサービス」は同社独自の保育所入所支援策で、社員の住む地域や個々人の事情に応じた保育所情報を提供。保育所をしっかり活用することなどで、社員の早期職場復帰をサポートする。
 
  生後6カ月未満で職場復帰する社員に対しては、さらに一歩踏み込んだ支援策で向き合う。地方の実家から親を呼び寄せ、育児を手伝ってもらう場合、親の交通費を会社が負担する制度などは、とても頼もしいだろう。「早く戻って活躍してほしい」──1人ひとりの女性社員を、貴重な戦力としてリスペクトする期待の高さが伝わってくる。

子育て中の短時間正社員がバリバリの部長職

 [写真]フォーラムで「女活のススメ」に見入る参加者

  製造業のクリロン化成(大阪市東淀川区)は、パート社員を悩ませる「130万円の壁」を補助制度で解消し、パート社員の戦力化に成功している。
 
  年収が社会保険の扶養範囲から外れる130万円を超え、社会保険料の負担が発生したパート社員に対し、本人が負担すべき保険料に相当する分を、会社が時給に上乗せして支払う。パート社員は「130万円の壁」を気にすることなく存分に働けるため、モチベーションが上がり、会社の業績向上に貢献している。
 
  卸売業のワンゲイン(大阪市浪速区)は従業員10人のうち、9名が女性。午前9時半から午後3時半までの短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入し、女性社員が子育てと仕事を両立しやすい職場環境を醸成。営業統括部長の重責も、子育て中の女性短時間正社員が担っている。
 
  情報通信業のプロアシスト(大阪市中央区)は、対話重視の社風を貫く。人気レストランと年間契約し、社員の誕生会や定例会議後の食事会を開催。業務とはかかわりの薄いことでも話しやすい環境がさりげなく整う。地方出身の社員に対しては、生駒京子社長自身が地方まで出向いて実家を訪問。両親らに社員の近況報告をすることで、家族との一体感も培っている。

女子社員の4割がママさん社員

  大阪市が主催し、同会議所が共催して開催された「女性の能力を活用した新たな市場創造について考える」フォーラムで、参加者に「女活のススメ」を配布し、同研究会活動の成果が報告された。
 
  松井さんが紹介事例から得られる「女活成功のひけつ」と「女活の留意点」を、3点ずつ挙げた。女活成功のひけつを、「制度も社風も充実」「男性上司を巻き込んだ育成研修」「適性を生かした職域拡大」と指摘。「女活の留意点」として、「トップの決意と活動継続の仕掛け作り」「待機児童問題の解消」「働き方改革の推進」を呼びかけた。
 
  続いて、「女活のススメ」で事例紹介されているマンダム(大阪市中央区)の西浦けい子人事部主幹が、自社の取り組みを説明。産休取得者と上司、人事部による産休前三者面談を導入したところ、コミュニケーションが促進され、産休後の復職が円滑になった。今では女子社員のうち、子育て中のママさん社員が4割を占めるようになったという。
 
  西浦さんは「他社の事例が役立つことがあります。大阪の会社同士で連絡を取り合い、知恵を集めていきましょう」と、女活情報の共有を提唱した。会場では参加者が配布された「女活のススメ」に熱心に見入っていた。
 
  女性の活躍推進こそ、すぐれた成長戦略のひとつ。生活シーンでの「大阪のおばちゃん」のたくましさや対話交渉能力は群を抜く。「大阪女子」の潜在的パワーをうまく引き出して、大阪経済の成長エンジンにしたいものだ。
 
  「女活のススメ」は大阪商工会議所人材開発部研修担当(大阪市中央区本町橋)と、OSAKAしごとフィールド(大阪市中央区北浜東)で、無料配布しているほか、同会議所の公式サイトからダウンロードできる。詳しくは同会議所の公式サイトで。
 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

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